「ぬるま湯」はうまくいっている証拠
一方で、すべての人がフリーランスに向いているとは全く思いません。よく会社員の方から聞く悩みが、「夢がないからどうしよう」とか、「こんなぬるま湯に漬かっていていいのか」というもの。
でも、よくよく考えてみてください。夢がないということは、今あなたの夢がすべてかなっている状態なのではないでしょうか。
自分の幸せを受け入れるのも、また勇気だと思います。幸せなのに、無理に足りないところ探しをする必要なんてないんです。
ぬるま湯に漬かれていることは、現状の仕事や会社が安定している証拠。今いる場所が熱湯や冷水の中だったら、そんなにゆっくり自分の将来について考えてはいられません。
今いる場所を「ぬるま湯」と思えるのは、シンプルに自信を持っていいことですし、居心地のいい場所から無理やり飛び出す必要もないと思うんです。
多くのメディアでフリーランスの自由な働き方が提唱されていることで、不満を持つ必要のない人が不安になっているように思えてしまってなりません。
気持ちいい状態にあるということは、既にある程度、自分の強みを生かして仕事できているんだと思いますよ。
自分に合うのはフリーランス? 会社員?
日経ウーマンオンライン読者の方にも、フリーランスに憧れを持っている方もいるかもしれません。
興味があるなら、まずはどんなフリーランスを目指したいか、具体的に書き出してみてはいかがでしょう。一口にフリーランスといっても仕事の中身はさまざまです。自分はどんな職業に就いてどんな日常を送ることが幸せなのか、そんなところまで踏み込んで考えていけば、より夢は具体的になるはずです。
そうして客観的に自分を見つめてみた結果、「意外と会社員のほうが自分の夢はかないやすいかも」という気付きもあるかもしれません。
私も両方を経験したことで、会社員・フリーランスどちらにもメリットとデメリットがあると感じています。漠然としたフリーランスへの憧れや、不明確な「ここではないどこかへ」ではなく、まずは自分の居場所の心地よさを確認してみることも、キャリア形成には必要なことだと思います。
文/小泉なつみ 写真/鈴木愛子、PIXTA