働く女性の約30%が献血できないほどの貧血状態

 食事中や食後すぐのコーヒー・紅茶タイム、朝食抜きの生活、野菜中心でたんぱく質が欠けている食事など、普段の何気ない習慣の中に「鉄分不足」を招く要因はいくつもありますが、そのためなのか「貧血」に悩む女性は多いそうです。

 細川さんが代表を務める一般社団法人Luvtelli(ラブテリ)と三菱地所が共同で立ち上げた「まるのうち保健室」の調査によると、働く女性の29%がヘモグロビンの数値が12.5g/dL未満という状況でした(※)。これは、400ccの献血を断られてしまう数値です。

※ヘモグロビン簡易測定器による調査(調査人数:20代~30代女性352人/平均ヘモグロビン値13.0g/dL、最小値:9.5g/dL、最大値:16.2g/dL)。

血液をつくる栄養素の摂取状況(n=352)
血液をつくる栄養素の摂取状況(n=352)
血液をつくる栄養素が不足している人がとても多い! 出典/働き女子352名の食生活白書(※事前測定会申し込み時実施アンケート結果) Will Conscious Marunouchi「まるのうち保健室」調査 Copyright 2017 三菱地所株式会社・一般社団法人ラブテリ All Rights Reserved.

 血液をつくる「たんぱく質」「鉄分」「葉酸」「亜鉛」の摂取状況を見てみても、たんばく質の不足率87%、鉄分92%、葉酸42%、亜鉛77%とかなりの割合で不足していることが分かります。

 「女性は毎月の月経のたびに約22.5mgもの鉄分を失います。汗や尿からも毎日1mg損失します。それを補おうとすると1日に10.5mgは鉄分が必要です。ところが、鰹のたたき1食当たりに含まれる鉄分量で約2.3mg、納豆1パックでも1.6mg程度です。鉄分は一気に摂取するのが難しい栄養素ですので、『1日3回、毎食必ず取る』ということを心掛けてくださいね。最近は鉄分(Fe)入りのおやつも増えていますので、上手に活用してください」(細川さん)

女性が1カ月で失う鉄分量は
 毎日 尿・汗・皮膚から 約1mg
 毎月 月経血から 約22.5mg
女性が1日に必要とする鉄分量は
 10.5mg(※月経血の多い女性はより多くの鉄分を必要とします)

1食当たりの鉄分含有量
1食当たりの鉄分含有量
1食当たりの鉄分含有量は、たまご 1.2mg、鰹のたたき 2.3mg、あさりの味噌汁 1.6mg、納豆1パック 1.6mg、ひじき 5.5mg、切り干し大根 1.5mg 写真/PIXTA

鉄分摂取は「朝」が効果的

 鉄分補給は「毎食必ず」がキーワードですが、「朝」は特に鉄分の利用率が高まる時間帯であることも知っておきましょう。吸収率も朝が高いという報告もありますので、朝にヘム鉄を含む食材を食べると、相乗効果が期待できます。

 「貧血と聞くと、『目まい』『立ちくらみ』の症状だけだと思いがちですが、実は気持ちのアップダウンや冷え症、生理痛などにも関わることが分かっています。貧血がひどくなると、生産性の高い体にはなれません。毎日をパワフルに過ごすためにも、特に朝食で鉄分を取るようにしてください」(細川さん)

 ヘム鉄を多く含むのは牛肉、豚肉、鰹やまぐろなど赤身の肉や魚。「朝から料理する時間がない」「食費を抑えたい」という人は、牛・豚のひき肉を活用しましょう。豚そぼろや牛肉のしぐれ煮にしておけばすぐに食べられますし、既製品でもかまいません。また、ツナ缶や鮭フレーク、カキのオイル漬けなどでもOKです。

朝食に取り入れやすいヘム鉄メニュー例
朝食に取り入れやすいヘム鉄メニュー例
鮭フレークやツナ、豚そぼろ、カキのオイル漬けなどは忙しい朝でも取り入れやすい 写真/PIXTA

 これらの食材を上手に取り入れて、血色豊かな健康美人を目指しましょう!

聞き手・文/三浦香代子 グラフデータ出典/Will Conscious Marunouchi「まるのうち保健室」 写真/PIXTA

関連サイト
まるのうち保健室