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2人以上と同時に性愛関係を築く「ポリアモリー」とは? 浮気や不倫と異なる3つの理由

2015年8月20日

『ポリアモリー 複数の愛を生きる』著者・深海菊絵さんインタビュー

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深海菊絵さん

 恋愛における誠実とはひとりの人を愛し続けること――少なくとも現代の日本では、そうした価値観を信じて生活しているものです。ですが、はたしてそれは絶対的に正しいといえる恋愛スタイルなのでしょうか? 恋愛は1対1で行われるべきものという私たちの価値観に一石を投じるのが、複数の人と合意の上で性愛関係を築く“ポリアモリー”という概念。

 複数の人との恋愛と聞くと、なかには「浮気性」「ふしだら」「不道徳」という言葉を連想し、嫌悪感を抱く人もいるかもしれません。ですが、ポリアモリーは複数の相手と「誠実」に向き合うことを重んじており、隠れて行う浮気や不倫とは一線を画していると言われています。あまり馴染みのないポリアモリーについて深掘りするべく、『ポリアモリー 複数の愛を生きる』(平凡社新書)を今年6月に上梓した、著者の深海菊絵さんに詳しいお話を聞きました。

●複数の人と「きちんと」関係を築く性愛スタイル

――ポリアモリーという概念はどのように生まれたのでしょうか?

深海菊絵さん(以下、深海):ポリアモリーという言葉はギリシア語の「複数」(poly)とラテン語の「愛」(amor)に由来し、アメリカで造られた造語です。1990年代初頭から「責任あるノンモノガミー(非一夫一婦制)」に代わる語として用いられるようになりました。「ノンモノガミー」とは、「同時に二人以上の性的パートナーをもつこと」を指します。たとえば、お互いに恋人をもつ自由のある結婚のかたちである「オープン・マリッジ」がその例です。

 今でこそ性の多様性に寛容なイメージがあるアメリカですが、キリスト教圏でもあることから性に対して厳格な側面を持っています。性は「夫婦間に閉じられるべきもの」という伝統的な性規範がありますよね。そのアメリカにおいてノンモノガミーが登場するのは、60年代から70年代にかけて興隆した「性革命」期。この時期、既存の性愛関係に囚われない人たちや複数婚を実践するヒッピーコミューンが現れました。

 こうした流れのなかで、80年代に入ると、複数の人と「きちんと」関係を築く性愛スタイルや生き方を模索する人たちがネットワークづくりをはじめます。90年代初期には、ポリアモリー運動の旗振り役ともいえる「ラヴィング・モア」という組織が生まれ、自分たちの愛のかたちを「ポリアモリー」と名付けました。米国では年々ポリアモリー・グループが増加し、組織化がすすんでいます。現在は、日本にもポリアモリー・グループは存在していますし、国際会議も開かれ世界的な広まりをみせています。

●浮気や不倫と違う3つの理由

――隠れて行われる浮気や不倫と、合意の上で複数の人と関係を結ぶポリアモリーは、何が決定的に違うのでしょうか?

深海:大きく3つあります。1つめは、罪悪感からの解放です。浮気や不倫の場合、パートナーに嘘をつくことになり、罪悪感が生じてしまいます。一方、ポリアモリーはパートナーの合意があるので、罪悪感を遠ざけることができます。実際、浮気や不倫の経験のなかで心苦しさを感じていたという方が、心を痛めずに人を愛したいと考えポリアモリーを選択するに至った、という話はよく耳にしますね。

 2つめは、信頼関係に関して。大切な人だからこそ包み隠すことなく本心をみせたい、と考えるポリアモリストは少なくありません。複数の人を愛している(愛する可能性がある)「ありのままの自分」を受け入れてもらうことからこそできる信頼関係は、相手や自分の気持ちに嘘をついている状態でできる信頼関係とは違うものだと思います。

 3つめは、配慮のあり方です。浮気や不倫をパートナーに告げない理由のひとつは、事実を知らせて相手を傷つけたくないからでしょう。それはある意味、配慮でも優しさでもあります。他方、ポリアモリストの場合は、相手や自分がどんなことで傷つくのかを互いに伝え、ケアします。ポリアモリーには、相手や自分の痛みに寄り添いながら、臨機応変に対応していく配慮がみられます。

 このように、全員が状況を知っているか否かでは、自分の心の状態も信頼関係も配慮のあり方も変わってくるのです。

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