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芥川賞ピース又吉が受賞前に日経ウーマン編集部に語っていたコトバとは?

2015年7月30日

「好きを極めるギャルたちも仕事に必死なOLさんたちもいとおしい」

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小説デビュー作『火花』(文藝春秋)の芥川賞受賞が大きな注目を集める

お笑いタレント・ピースの又吉直樹さん。

受賞前に日経ウーマン編集部に語っていた言葉とは…?(2015年7月号記事を再掲載)。

QUESTION
又吉さんは小説家になりたいんですか?

又吉直樹
80年大阪府生まれ。よしもとクリエイティブ・エージェンシー所属。お笑いコンビ「ピース」として活動。経済番組『オイコノミア』(NHK)など、テレビ出演も多数。著書に『第2図書係補佐』(幻冬舎)、『東京百景』(よしもとブックス)など。5月には『芸人と俳人』(堀本裕樹 共著/集英社)が発売された。

 お笑いの世界を舞台に、芸人同士の濃密な人間模様が描かれた小説『火花』。お笑い芸人、又吉直樹さんが書いた初めての小説は、124万部を突破するベストセラー。又吉さんは、その反響の大きさに戸惑いながらも、「多くの人が小説に真っすぐ向き合ってくれたことが何よりうれしい」と言う。多忙なスケジュールの合間を縫って、3カ月で書き上げた。「書き進めるうちに、キャラクターが自由に動きだした。登場人物がアホ過ぎて、『俺がここにおったらアドバイスができたのに』と歯がゆく思うくらい。彼らがどんなアホをしでかすか、僕も書いていて楽しかった」

 『火花』は三島由紀夫賞の最終選考に残り、7月には芥川賞も受賞など、その文学性も高く評価されている。芸人という“異業種”から文壇へ。今後は小説家になるのか――。そう素直に質問をぶつけると、「僕にとっては、笑いの舞台も小説も、“お笑い”という大きな枠の中での表現の一つ」という答えが返ってきた。

 小説で表現したかったのは、“日常の笑い”だと言う。お笑いの舞台では、普通ではあり得ない非日常な設定から笑いが生まれる。一方、小説では平凡な日常でリアルに感じる違和感やズレの面白さに注目する。「自分の求めるお笑いの表現に合っていると思います」

 お笑いでも小説でも、又吉さんの根底にあるのは、人間に対する深い考察と温かなまなざしだ。その理由を「とにかく人が好きなんです」と自己分析する。「以前、『ギャルが好き』と言ったら、すごく意外だと言われたことがあります。それは、世間がギャルに対して否定的なイメージを持っているからだと思うんです。けれど僕は、彼女たちの『好きだからこういう格好をする』という真っすぐな強さが美しく見えます。仕事に必死で、なりふり構っていないOLさんも同じようにいとしい。そういう人をバカにする人間が、一番嫌いです」

 優しいですね。そんな記者の言葉に、「僕が一番、底辺ですから」とポツリ。「学生時代から、自分は本当に気持ち悪い、誰からも好かれないヤツだと思っています。そんな僕は、人に優しい世界でなければ生きられない。それを、自分のなかにつくっているのかもしれません」

 一方で、自分なりの揺るぎない価値判断基準も持っている。「それは、他人がなんといおうと脅かされないもの。いわば、世界でたった1人の自分に対する自信。それだけは持っているんです」

 インタビューは、芥川賞よりも前、今年5月に行われた。実はそのとき、「芥川賞を取りたいですか? と質問していた。「もちろん取れたらうれしいけれど、今までもこれからも、賞を狙って書くことはありません」。淡々とした口調で、静かながら力強くそう話した。

「これからも、面白いと感じることを気持ちの高まったタイミングで書いていきたいです」

ANSWER
小説も自分の笑いの表現のひとつ。
僕はずっと“お笑い芸人”でありたい。

『火花』

 売れない若手芸人徳永は、先輩芸人の神谷と出会い、彼のお笑い哲学に心酔して師と仰ぐ。しかしやがて、2人は別々の道を歩みだす。濃密な2人の関係を通じて、“人間とは何か”“生きるとは何か”を問いかける。
1200円/文藝春秋

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取材・文/西尾英子、写真/石塚定人

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