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夜の闇に輝く、美しい光の塔の正体は…

2015年3月10日

発光生物が光るのは何のため?

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シロアリの塚に生息するヒカリコメツキの幼虫は、恐ろしい捕食者だ。光の塔におびき寄せられた生き物は、その餌食となる。(Ary Bassous/National Geographic)

 生物が光を放つ現象を総称して「生物発光」という。そのかすかな光は魔法のように美しいが、実はごくありふれた現象だ。

 陸上では、夏の夜に飛び交いながら光を放ち、交尾の相手を引きつけるホタルがおなじみだ。ほかにも、ツチボタルと呼ばれる地中で光る幼虫や、カタツムリ、ヤスデ、キノコなど、発光する陸生生物にはさまざまな種類がある。

 だが、もっと本格的な光のショーが繰り広げられる舞台は、海の中だ。海中を漂う小さなウミホタルが放つ光は、陸のホタルと同様に求愛のメッセージ。ヤコウチュウや渦鞭毛藻など、海中を漂う発光プランクトンもいて、周囲の水が揺れ動くと光る。夜の海で泳いでいると水中に光る粒が見えたり、ボートの航跡がかすかに光って見えたりするのは、たいていこうした生き物のせいだ。

 光る魚やイカ、クラゲ、エビ、ナマコも知られている。毒のある触手をカーテンのように垂らして獲物を捕まえるクダクラゲにも、光るものがいる。光を放つ細菌や原生生物もいる。既知の発光生物の8割以上は、海に生息しているという。

防御、攻撃、繁殖など、光の目的はさまざま

 生き物たちの放つ光には、敵を追い払う、獲物をおびき寄せる、交尾の相手を誘うといった、実用的な役割がある。

 隠れる場所のない海に暮らす生物にとっては、光は自分の姿を見えなくする「かくれみの」としても重要だ。イカや魚、エビのなかには、体の下面を光らせることで海面からの光にまぎれ、身を隠すものがいる。イワシなどの魚は銀色の体で周囲の海の光を反射し、背景に溶け込む。

 では、クシクラゲや発光プランクトンのような多くの生物が、水の振動などの刺激に反応して発光するのはなぜだろう。理由の一つは、急な発光で捕食者を驚かせ、逃げるチャンスをつくるためではないかと考えられている。たとえば深海にすむコウモリダコは一瞬だけ明るく発光し、たちまち暗闇へと姿を消す。発光ゴカイの一種、グリーン・ボマーは、捕食者に遭うと緑色に光る袋状の“爆弾”を投下し、その隙に逃げるとみられている。クシクラゲは体を光らせ、その残像に敵の注意を引きつけておいて泳ぎ去る。

 もう一つ、「敵の敵は味方」という理由もありそうだ。発光することで、目の前の敵にとっての捕食者を呼び寄せる効果が期待できる。強盗に入られたので、警報ベルを鳴らして助けを呼ぶようなものだ。この仕組みは、渦鞭毛藻のように素早く泳ぐことのできない小さな生物には特に重要だろう。彼らにとっての防御手段は「戦うか逃げるか」の二者択一ではなく、「光る」という第三の選択肢なのだ。

 こうした微小な生物が光を放つと、海中で餌を探している魚が誘われて寄ってくる。渦鞭毛藻を捕食する、小さなエビに似たアミ類が海水を揺らすと、渦鞭毛藻が光る。すると魚がやって来てアミを食べてくれる、というわけだ。

 私はプエルトリコのビエケス島を訪れた。この小さな島は、海水が揺れると光る小さな生物、渦鞭毛藻が無数に生息する入り江「バイオ・ベイ」で名高い。生物発光を体感するツアーに参加した私は、船底が透明なカヌーに乗っていた。

 入り江の中ほどでカヌーを漕ぐ手を休め、暗い海と星空を眺めながら、ガイドの話に耳を傾けた。夜の闇がまだ保たれていると感じたこの島でも、観光客の急増と、新たな建物や道路ができたことによる光害が問題になりつつあるという。ガイドが説明を続ける間にも、1匹の魚が素早く海中を泳いでいき、流星のように光が流れた。

 しばらくして、再び移動を開始した。パドルを漕ぐと、前進するカヌーの動きに渦鞭毛藻が反応して発光し、一筋の明るい光が伸びていく。カヌーの透明な船底からその光を眺めていると、海と空が一つになり、自分が星々の間をカヌーで進んでいるかのような、不思議な感覚に包まれた。

(※『ナショナル ジオグラフィック』2015年3月号特集「光る生き物の世界」より)

ナショナル ジオグラフィック日本版 2015年3月号

過激派「イスラム国」の勢力拡大で、シリアからの難民が急増中。特集「戦火を逃れ 国境を越える」では、隣国トルコに逃れた難民たちの窮状を伝えます。このほか、光る生き物の世界/ベルリンとアテネ 二つの欧州/科学を疑う/グリーンランド 地の果ての風景/の特集5本を掲載。Webサイトでは、ダイジェスト記事のほかフォトギャラリーや動画も!
http://nationalgeographic.jp/nng/
article/20150219/436215/

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