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安楽死薬は保険適用なのに、がん治療薬は自己負担?アメリカ医療制度の実態とは

2015年1月15日

『沈みゆく大国アメリカ』ジャーナリスト堤未果さんインタビュー

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 現代アメリカの暗部に鋭く切り込む「貧困大国シリーズ」で知られるジャーナリストの堤未果さん。このたび刊行した『沈みゆく大国アメリカ』では、鳴り物入りで登場したアメリカ版国民皆保険(こくみんかいほけん)制度、「オバマケア」に迫っている。

 その衝撃的な実態を明かすとともに、「日本にとっても他人事ではない」と警鐘を鳴らす堤さんに、執筆の動機や日経ウーマンオンライン読者へのメッセージを聞いた。

堤未果さん
ジャーナリスト
東京都生まれ。NY州立大学国際関係論学科卒、NY市立大学大学院国際関係論学科修士号取得。国連婦人開発基金(UNIFEM)、アムネスティ・インターナショナル NY支局員を経て、米国野村證券に勤務中に9・11同時多発テロに遭遇、以後ジャーナリストとして各種メディアで発言、執筆・講演活動を続ける。著書に『(株)貧困大国アメリカ』、『ルポ・貧困大国アメリカ』(ともに岩波書店)『政府は必ず嘘をつく』(角川SSC)など。

「国民皆保険」の価値を知り、守っていくことが必要

――「オバマケア」は低所得者や高齢者、病気や怪我に苦しむ弱者にとって朗報のはずでした。にもかかわらず、医療費が支払えず自己破産する人が大勢いる。『沈みゆく大国』で描かれていたオバマケアの現実は非常に衝撃的でした。あらためて執筆の経緯についてお聞かせください。

堤さん(以下、敬称略):医療が「社会保障」でなく「商品」であるアメリカには日本のような国民皆保険制度がなく、医療費が非常に高いです。だからこそ、オバマが選挙時の公約に皆保険制度を入れていたことに国民は感動し、期待していた。でもふたを開けてみたら「医療=商品」の図はそのままで強制加入を義務づけた法律だったため、悲惨なケースが続出しています。難病患者が保険に加入できても薬は保険が適用外にされていたり、1粒10万円する薬があったり、保険証は手にしたが診てくれる医師がいないなど……。

 また、個人的な話ですが、私の父は晩年に糖尿病を悪化させてずっと人工透析を受けていました。これも、もし日本に皆保険がなかったら月20万はかかるでしょうし、到底払いきれなかった。「日本は国民皆保険制度があって本当によかった。この制度を守ってくれ」というのが、父の最後のメッセージだったんです。私自身、日本の健康保険制度を当たり前と感じていたけれど、実は世界的にみてとても優れた制度。医療制度に関する取材で会った人は患者も医師も皆口々に、「日本の国民皆保険って素晴らしいよね」と口にしましたね。

――海外でも日本の皆保険制度は認知されているのでしょうか。

堤:実はWHOが絶賛しています。日本では保険証さえ持っていれば、全国どの病院でも一定レベル以上の医療を安い治療費で受けられる。そんな国はほとんどありません。にもかかわらず、当の日本国民はその貴重さに気づいていない。一方で、海外の投資家たちや医療産業は非常に大きな可能性を持った市場として日本を狙っています。日本の医療を米国のように「商品」にすれば100兆円市場が生まれますから。実は日本の国民がその価値に気づかないうちに、皆保険制度の切り崩しもどんどん始まっており、早く警鐘を鳴らさねばという焦燥感から、緊急出版に踏み切ったんです。

――その狙い通り、『沈みゆく大国アメリカ』は発刊当初から大きな反響を読んでいます。その理由についてはどうお考えですか?

堤:2014年11月に行われた中間選挙でオバマ民主党は大敗しました。その理由を知りたくて手に取っている方が多いようです。加えて、テーマが「医療」という事も大きいですね。「貧困大国アメリカ」シリーズでは今までにアメリカの教育や食、自治体について書いてきましたが、中でも医療は全ての人に関わるテーマだけに、危機感も強かったのだと思います。特にこれから医療費がかかる40〜60代の方や、親の介護問題と向き合っている方々は危機感が強いようです。

――読者からはどんな感想が寄せられていますか?

堤:「日本の皆保険制度の価値を見直した」「医療を商品にしてはならないと気づいた」「政治の世界でそんな事が起きていたとは知らなかった」というような前向きな感想が圧倒的ですね。こうした反響から実感したのは、やはり日本人はリテラシーが高いなということ。本書の目的は、単にアメリカという国の悲惨な実情を描くものではありません。食や教育、あらゆるものがマネーゲームの対象になっていて、最新のターゲットが医療、それも海を越えてここ日本まで忍び寄ってきている。このメッセージを本当に多くの人々が的確につかみ取ってくれている事に感動しました。

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