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こたつで見る世界の短編アニメーション――アートに触れる珠玉の5本【前編】

2014年12月29日

年末年始のひとときに見る、世界の多彩なアニメーション

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注目すべき作品が生み出されるようになった世界の短編アニメーション。

日本の作家が海外の舞台で活躍するというニュースも耳にします。

動画サイトの流行で、いま、たくさんの作品が気軽に観れるようになりました。

ただ見るだけでも面白いけれど、意味がわかればもっと楽しい! ということで、

アニメーション研究・評論をしている土居伸彰さんに解説をして頂きました。

土居さん&編集部おすすめの10本を、2日間に渡って紹介していきます。

年末年始のひととき、ぜひ世界の多彩なアニメーションに触れてみて下さい。

アンドレアス・ヒュカーデ
『愛と剽窃(ひょうせつ)』

――まず1作目。この作品は、どんな見方をしたらいいでしょうか?

 まず、この豊かな動きを何も考えずに見るのがいいと思います。「こういうことができるのがアニメーションなんだ」といわんばかりにどんどんメタモルフォーゼを繰り返していく、ド直球な、「THEアニメーション」という感じです。なのでまず、高画質モードにして、フルスクリーンにして、音もなるべく大きくして、かたちがただ動いていくことの気持ちよさに圧倒されてしまいましょう!

――形が動きながら変わっていくのがこの作品の特徴ですね。はじめは点と丸だけですが、少しずつ色々なキャラクターが出てきます。

 スパイダーマンとかキティちゃんとか、セサミストリートなんかも出てきますね。でも、よく見てみると、チェ・ゲバラとかマルクスとか、だんだんと実在の人物や思想家までキャラクターとして入り込んでいることに気づきます。

 この作品、簡単に言ってしまうと、ひとりの人生を6~7分のなかに凝縮するような作品なんです。最初は丸と点だけの赤ちゃんの状態から、たくさんのアニメーションに触れる子ども時代を経て、思想家の影響なども受けるような青年時代も過ぎて、そして、大人になっていくというような、そういう「物語」のようなものも実はあるんです。

――途中から男性器のようなものも出てきますね。

 この作品はつまり、ある男性が、生まれて、成長していく過程で影響を受けたもの、気になるものがどんどんと現れていくという作品です。性器が途中から出てくるようになるのは、青年になって、性的なものが自分自身の関心に入り込んできたということ。途中から少し雰囲気が変わって、「葛藤」のような側面が出てきます。これはおそらく、女性との葛藤だったり、昔、自分が影響を受けてきたものとの葛藤を経る時期、ということでしょうね。人生が「戦い」の場のようになっていく。

――音楽も激しくなっていきますよね。途中から、宇宙のようなところにいきますが、これは?

 これはおそらく、死や、人生の終焉ということでしょう。「戦い」のような時期を経て、平穏な宇宙へと解放されていく……ということなんじゃないかと。

――じゃあ、これは死んだあとの世界ですか?

 そういうふうにも読み取れます。この作品にかぎらず短編アニメーションの面白いところって、シンプルだけど、「ここはこういうことを意味していますよ」と、読み解き方を無理やり指示してくるわけでもないということです。だからこそ、見る人によって解釈は違ってくるんです。

 この作品についていえば、アンドレアス・ヒュカーデというこの作家自身の生い立ちや、過去の作品を知っていると、さらに面白く観られますよ。

――どんな背景がある作家なんですか?

 この作家は、1968年生まれのドイツ人で、幼いころにディズニーなどのアニメーションを見て感銘を受けて、アニメーション三昧の子ども時代を送ったそうです。この作品の「気持ちいい」アニメーションは、むかしのディズニー作品の影響を感じさせます。

 さっき“人生”という話をしましたが、実はこの作品は作家自身の人生の記録にも読み取れるんです。この作家が影響を受けたアニメーションや思想家が、どんどんと登場する。この作品が、『愛と剽窃』というタイトルなのも、そこにつながってきます。「剽窃」とは、つまり、人のものを盗むということですよね。つまりこの作品は、「アニメーション作家としての自分の表現は、これまで自分が「愛」をもって接してきたものから影響を受けて――ある意味盗んできて、自分の作品にしてるんだよ」ということになります。

――なるほど! この作家は、他にはどんな作品があるんですか?

 このアンドレアス・ヒュカーデという作家は、まさに「人生」について描くのが得意な人です。特に、子供が大人になる過程で起こる決定的なできごと……例えば誰かの死に直面したり、性の洗礼を受けたり、そういう大きな出来事を経て大人になる少年、というテーマが多い。彼は「カントリー・トリロジー」と呼ばれる、田舎の少年が大人になることを描いた三部作で有名になり、この『愛と剽窃』はそれに続いて発表された作品です。父親の死と女性との遭遇を描いた『僕らは草原に住んでいた』、西部劇の舞台で性の洗礼を受ける『リング・オブ・ファイア』、農家の少年がペットのようにかわいがっていた子ウサギを殺す『仔ウサギ』というその三部作を観ると、『愛と剽窃』の後半のキャラクターたちが、そういった過去の作品に登場していることがわかって、ニヤリとさせられます。

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