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女性リーダーが陥りやすい罠

2014年5月27日

「自分さえしっかりしていれば」では、仕事が広がらない

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 中国少数民族料理の「ナポレオンフィッシュ」など、時代を先取りした個性的な飲食店を経営するイイコの横山貴子さんは、浮き沈みの激しい外食業界で17年にわたり経営者として成果を上げてきた。だが、本人は「統率力や構想力、論理的な思考力といった経営リーダーの条件の多くを持ち合わせていない」と言う。

 「人間は不完全なもの。自分のできることをできる範囲でやるしかない」というのが横山さんの考えだ。それゆえ、部下の育成に当たっても、社員自身が「やりたい」と手を挙げる自発性を尊重し、信じて待つという姿勢を貫いている。

 だが、こうしたマネジメントを身につけるまでには10年近くの時間を要した。それ以前は、「女性リーダーが陥りやすい罠にはまり込み、苦しい時期を過ごした」と言う。その罠とは何か、それを抜け出すためには何が必要かを聞いた。

◇   ◆   ◇   ◆   ◇

横山貴子(よこやま・たかこ)
イイコ社長。1963年生まれ。美大を卒業後、ジュエリー関係の会社に就職。その後、20代で9回の転職を繰り返す。33歳の時に500万円の貯金を元手に東京・恵比寿に、看板なし、メニューに価格表示なしの飲食店「201号室」をオープン。隠れ家飲食店の先駆けとして人気を集める。その後も、時代の半歩先を行く数々の話題店を作ってきた。現在は「Club小羊」「月世界」「中村玄」「ナポレオンフィッシュ」「casa nova」の5店舗を運営する。

――働く女性、特にリーダーの立場にある人には陥りやすい罠があるとおっしゃっていますね。

横山 女性が一番陥りやすい罠は、「頑張りすぎ」だと思います。「これだから女は……」なんて言われたくない。ならば、なんでも自分で完璧にやり遂げれば誰も文句を言えないだろうと頑張りすぎてしまうんです。

 私もその一人でした。外食業界は男性社会なんです。経営者も、料理人も圧倒的に男性が多くて、そんな中で、男性に負けたくないと意地を張ってしまうことがたびたびありました。肩の力を抜いて、自分にできることをやればいいと思えるようになったのは、ここ7、8年のことです。

 前回(「壁にぶち当たったら、逃げるが勝ち」)もお話ししたよう、私は最初に作った店「201号室」で料理長とぶつかりました。そして、料理を覚えるためにアルバイトとして六本木の和食店に潜り込みました。つまり、料理まで含めて全て自分でできれば、誰にも文句は言われず、自分の好きなように店を運営できるという発想です。もちろん、小さな飲食店なら、それもアリです。でも、私は、ビジネスとして飲食店を始めました。だとしたら、自分一人で切り盛りするという発想ではすぐに限界に突き当たります。これはどんな仕事でも同じですよね。

――自分さえしっかりしていれば文句は言われないという発想では、仕事が広がっていかない?

横山 人間関係を大切にし、それだけに人間関係に悩みやすい女性の場合、このときの私のように、自分で何もかもやることによって問題を解決しようとする人は多いのではないでしょうか。でも、それでは真の問題解決にはなりません。仕事を抱え込みすぎて心も体もクタクタ。日常業務に忙殺されて新しいことに挑戦できず成長が止まってしまいます。

 私の場合、自分がいなくなった後も「201号室」がちゃんと回っていることで目が覚めました。あのとき、自分の存在価値はそんなものなのかと少なからずショックを受け、「もう、どうでもいいや」という気分にもなりました。でもそれが治まると、スッと気持ちが楽になったんです。「自分がいなくても現場は回るんだ」「全部自分で背負い込まなくてもいいんだ」。早い時点でそう気づけたのは幸運でした。その後、経営者としてやっていくうえで、大きな財産になりましたね。

――人に任せるというのはマネジメントの出発点ですが、これはなかなか難しいということですね。

横山 私は自分のことをずっといい加減な人間だと思っていました。それが、独立起業してから、自分が意外にも他人に完璧を求めていることに気づいたんです。アルバイトスタッフがお客様の名前を間違えたり、オーダーを間違えたりすると、とても神経質になりました。自分より劣るレベルの仕事を見ると、「ちゃんとやってよ」と苛立ってしまうんです。それを指摘し、それでも直らないと、苛立ちは精神的苦痛になりました。そこでつい「自分でやったほうが早いし正確」と思ってしまうんですね。

 当時の私は、人を本当の意味で信頼していなかったんだと思います。「この人に大事な仕事を任せても大丈夫か?」というのは結局のところ、やってみなければ分かりません。要は、信じるか、信じないかだったんです。相手を信じないまま、形の上だけ任せても良い結果は生まれません。常に相手に不安を抱き、任せきれないまま、自分で手や口を動かすことになります。この不安はきっと相手に伝わります。自分のことを信頼していない人に信頼を寄せてくれる人はいません。相手は自分の鏡なんですね。

――でも、相手を信じるというのは簡単なことではないですよね。

横山 人を信じるためには覚悟が必要です。任せた相手が失敗をすると「あなたを信頼して任せたのに、私の顔をつぶすつもり?」と怒る人がいますが、これは信頼ではなく、依存です。その違いは、相手に任せた行為の最終的な責任を自分で負う覚悟があるかどうかです。

 この覚悟が結果を左右するんじゃないでしょうか。ほとんどの人は信頼には信頼で応えようとしてくれます。依存せず、信頼するからこそ、良い結果を生む確率が高くなる。任せることは勇気のいることですが、それをしない限り、人は成長しないし、自分も次のステージに進めません。

――女性経営者として男性の社員を引っ張っていくうえで心がけていることはありますか。

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