• ビジネス
  • xTECH
  • クロストレンド
  • 医療
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版
  • 日経BP

博物館の原型は16世紀の「驚異の部屋」だった

2014年1月16日

博物館こそ“地球の知を守る番人”

このエントリーをはてなブックマークに追加
Facebookでシェア

 巨大なミズダコが、水槽のエタノール液に漬かっている。隣の瓶には発光生物ヒカリボヤ、壁にはタヒチ産の巻き貝の首飾り、棚には色とりどりのサンゴや藻類が並ぶ。

 230個ほどある収納ケースは、温度と湿度が調整できる特注品で、軟体動物の標本が1000万点も収められている。その多くは、英国のアーネスト・シャクルトンや米国のメリウェザー・ルイスといった探検家や、博物学者たちが世界中から持ち帰ったものだ。

 ここは米国ペンシルベニア州フィラデルフィアにあるドレクセル大学付属の博物館、自然科学アカデミーの収蔵庫だ。今いる軟体動物部門にたどり着くまでに、昆虫部門と古生物部門を通ってきた。どの部屋にも、貴重な資料が山ほど収蔵されている。

オランダの田園地帯に住んでいた収集家が自宅周辺で集めたヨーロッパモグラ。形や大きさ、毛の艶に微妙な違いがある。ヨーロッパモグラ(TALPA EUROPAEA)、オランダ・ナチュラリス生物多様性センター所蔵(Photograph by Rosamond Purcell)

「物を集めたくなる」のは人類の宿命?

 「発見」と言うと探検家の手柄ばかりが注目されがちだが、実際に多くの発見がなされるのは、こうした博物館の舞台裏だ。資料はここで分類され、ラベルを貼られて、目録に記載される。その際に新種が見つかることもあり、作業に数十年かかることも珍しくない。

 人類は、物を集めるのが好きなようだ。狩猟採集民だった時代の名残かもしれないし、混沌とした状況を整理しないと気が済まない性分なのかもしれない。進化生物学者のスティーブン・ジェイ・グールドは「収集に取りつかれた者の情熱は休むことを知らない。彼らにとって収集とは、神聖な行為なのだ」と記している。

 そんな強迫観念にも似た思いから生まれたのが博物館だ。16世紀前後、ヨーロッパの王侯貴族や医師たちは、さまざまな物を集めて一つの部屋に展示した。“驚異の部屋”と呼ばれたその空間には、動植物の標本や科学機器、芸術品から突然変異体の標本まで、美しい物や恐ろしい物、珍奇な物があふれていた。これが博物館の原型である。

 1億2600万点の標本を所蔵するスミソニアン国立自然史博物館のカーク・ジョンソン館長は言う。博物館の収蔵室は「自然に関する知識が実物そのままに保存されている場所です。ここは私たちにとっての宝物庫であり、自然科学の殿堂とも言えます」

 収蔵室はタイムマシンでもある。同館の鳥類学者は鳥の化石のデータから、ハワイに生息していた絶滅種を次々と発見している。

 最近は収蔵品のデジタル化と標本の整理が進み、研究者同士の情報交換も活発になっている。遠方からも収蔵品の情報が利用可能になりつつあり、「今やiPhoneがあれば、マサイ族の戦士にも当館のコレクションを見てもらえます」とジョンソン館長は語る。

 とはいえ、デジタルデータが実物標本の代わりを果たせるわけではない。スミソニアン博物館のジョンソン館長はこう語る。「ダーウィンは、生きとし生けるものはすべてつながっていると考えました。博物館の収蔵品はそのことを如実に物語っています。なかには絶滅種もありますが、私たちの手元にはそのDNAが残されています。博物館こそ、“地球の知を守る番人”なのです」

(※ナショナル ジオグラフィック1月号より抜粋)

ナショナル ジオグラフィック日本版 2014年1月号

アマゾン最強の先住民を知っていますか? 特集「闘う先住民 カヤポ」では、独自の文化を守りつつスマホなども使いこなすカヤポ族に密着。このほか、博物館は知の宝庫/出稼ぎ労働者の愛と孤独/コモドオオトカゲ/ソチ五輪/クライミングの楽園/の特集6本を掲載します。Webサイトでは、ダイジェスト記事のほかフォトギャラリーや動画も!
http://nationalgeographic.jp/nng/
article/20131219/377682/

*記事がご覧いただけるのは3月31日までです。

この記事をSNSにシェアする

このエントリーをはてなブックマークに追加
Facebookでシェア

この記事は役に立ちましたか?
働く女性のための「日経ウーマンオンライン」最新記事のお知らせを好きな方法で受け取れます。

  • メールアイコン

    11万2千人

    無料メルマガを購読する

Facebookコメント

※Facebookのコメント機能は、Facebookのソーシャルプラグイン機能を用いて実現してい ます。本機能、およびコメントの内容について、日経ウーマンオンラインは一切の責任を負い ません(日経ウーマンオンラインからのコメントを除く)。また、コメントを非表示にしたり、機能を停止することがあります。

関連キーワードから記事を探す
エンタメ

Topics

CloseUp

WOL Selection

PAGE TOP

ログインしていません。

  • ログイン
  • 無料会員登録

Pickup

Focus

最新刊のご案内

仕事を楽しむ 暮らしを楽しむ日経ウーマン 12月号

もっと健康に、もっと美しく日経ヘルス 12月号

働くママ&パパに役立つウェブマガジン日経DUAL 11月号

一生お金に困らない!お金がどんどん増える本 ミニサイズ新装版

まんがで分かる!やせる食べ方

日経ウーマンオンライン おすすめの本

日経ウーマンオンライン

広告をスキップ