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福島で子供を育てる母親たちの決意

2013年3月29日

食品検査、除染、保養――自らの手で福島で生きる道を探る

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 「マイタケは1人1つまでねー」「今日は冬瓜がたくさんあるよ!」

 女性たちのはつらつとした声が響く「青空市場」。キャベツ、大根、みかん、マイタケ、じゃがいも、冬瓜。60畳ほどの部屋に色とりどりの野菜が並び、次々と“売り切れて”いく。

 子供をおんぶした母親が、持参したショッピングバッグにマイタケを入れながら言う。「きのこ類は特に(放射性物質が)多いので、貴重なんですよ」。6歳の子供を持つ母親は「県内産は不安で食べられないし、県外産は高い。ここでこうしていただけるのは本当に助かります」と言い、「青空市場」を後にした。

段ボールに入った“県外産”野菜がずらりと並ぶ
放射性物質が検出されやすいきのこは人気が高い

 福島県二本松市で月に4回ほど行われる「青空市場」。自らも5人の子供を持つ同市在住の佐々木るりさんが、福島の子供たちに安全な野菜を食べてもらいたいという一心で始めたものだ。

 るりさんの夫である道範さんはお寺の副住職。震災後、全国の浄土真宗のお寺から支援の野菜が届き、それをお寺の一角を使って少しずつ近隣の方に配り始めたのがきっかけだった。徐々に支援の輪が広がり、今では月に100件を超える野菜が「青空市場」に集まる。お米など一部のものを除いてすべて無料で提供される「青空市場」には、県内産の野菜に不安を抱える母親を含め、1日200家族が訪れる。中には、県外産の野菜を求めて郡山から往復1時間の道を車でやってくる母親もいるほどだ。運営を担うのは、るりさんを始め、同じ境遇にいる母親たち。るりさんは、そんな“戦友”たちのことを「ハハレンジャー」と呼ぶ。

自分で食べるものは自分で検査する

 道範さんは、震災から2年経った今も食品の放射能測定を続ける。2012年1月にNPO法人「TEAM二本松」を立ち上げ、自ら食品の放射性物質を測る活動を始めた。500万円ほどする食品測定器を全国からの寄付で購入し、子供たちの口に入る物は徹底的に測定。自宅で購入した野菜、牛乳、精肉。過去には、国内大手メーカーの商品から放射性物質が検出されたこともあった。県内の農家からは、やめてほしいと言われることもある。子供を守ろうとする行為が、地元の農家を廃業に追い込むかもしれない。それでも、「子供を守るためには避けて通れない」と信じて測り続ける。

 「“ほしい”野菜ではなく“安全な”野菜を選び、カレーひとつとってもニンジンがなかったり、じゃがいもがなかったりするのは当たり前」(るりさん)。

「自分で測定した数値なら信じられる」と自ら食品測定器を購入して放射性物質量を測定する
自分たちが食べるもの以外にも、依頼されれば検査を行う。その結果はすべてファイリングして、情報を蓄積している

 子供達の内部被曝測定を行うためのホールボディカウンターも購入した。県が行う内部被曝測定は、2年経った今も1度しか受けられていない。いつでも何度でも体内にどれくらいの放射性物質があるかを測定できるようにするには、自分たちで用意するしかないと思った。購入資金の5000万円は、全国からの支援で集めた。

子供の内部被曝を検査するために導入したホールボディカウンター

 「5000万なんていう大金、想像もできなかった。でも、ある講演で、学生が1万円札を持ってきて言ったんです。『これを5000枚集めればいいんですよね?』と。勇気をもらいました」(道範さん)

 “5000万という大金”を何とか集め、少しずつ子供たちの内部被曝検査を行っている。異常が発見された場合は、信頼のおける医師を紹介する。

 「ここで暮らしていくのに必要なのは、安全な食べ物、除染、保養、の3つ」(道範さん)。震災以降、ひたすらこの3つをやり続けながら、暮らしてきた。

 佐々木さん一家が住む二本松市は、福島第一原発の北西約50キロの距離にある場所。避難指示区域を除く福島県の地域の中では比較的空間線量が高い場所だ。あの日から2年。「徐々にですが、福島で暮らしていく方法が分かってきました」(るりさん)。

 

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