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山本美香さん「戦争は遠い国の人ごとではない」

2012年8月23日

無関心というのが大きな罪のひとつではないでしょうか?

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 2012年8月20日、取材中のシリアで銃撃を受け死亡した山本美香さん。『日経WOMAN』などで山本さんのインタビュー記事を担当した白河桃子さんに、追悼文を寄せていただいた。

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 ジャーナリスト山本美香さんが取材中にシリアで亡くなられました。
 山本さんに初めてお会いしたのは、バグダッド陥落の後、日経ウーマンのインタビューでした。その後「戦場にいった女たち」という連載を女性誌でやらせていただき、念願の2回目の取材が叶いました。

 彼女の原稿を改めて読み返したら、「きちんと取材して、戻る…それが最重要課題です。蛮勇は必要ない。できるだけ安全のパーセンテージを上げていくしかないんです」という言葉がありました。人一倍安全に気を配り、「危険を冒して取材に応じてくれた人の言葉を確実に伝えていかなければ」というプロフェッショナルな彼女が、今回は帰ってこなかった。それほどシリアで起きていることは大変な事態なのです。

 そして彼女はいつも「戦争」ではなく「人」を見ていました。

 100人の死者の一人一人の名前があるのだ。その人たちはどんな人だったのか? どんな人生を生き、誰を愛し、誰に愛されたのか? 

「数字で見てはいけない。一人、一人、しっかりと人を見なくては」

 イスラムでは男女の接触は厳しく制限されている。女性の彼女にしか、イスラムの女性たちの声は伝えられないのです。女性を、子どもを、母親の声を大切にしていました。日本女性である彼女が戦場に立つ意味があるのです。

 インタビューの最後にこんな質問をしました。
「なぜ戦争の悲劇は繰り返されるのでしょう?」

 最後の質問に彼女は答えてくれた。
「無関心というのが大きな罪のひとつではないでしょうか?根っからの悪人はそれほどいないのに、戦争は起きてしまう。原因はいろいろありますが、戦争が起きる兆候は必ずあって未然に防ぐ手立てもあるはずです。でもそれを自分には関係ないと目をそらしてしまう。一度始まった戦争を辞めることは難しいと知っているのに、私たちは未然に戦争を防ぐことを怠っているのです」
 
 そして、シリアは遠い戦場ではない。
「世界の安定はつながっている。日本にいる人にとっても、遠い国の人ごとではないのです。生まれた場所、時代が違うだけで、同じ人間がひどい目にあっていることを、ちゃんと見てほしい。想像してほしい」
 
 尖閣諸島、竹島問題…私たちは未然に戦争を防ぐ努力を今こそ忘れてはいけない。安易なナショナリズムに流されず、冷静に、静かに、心を澄ませて、今こそ彼女の言葉に耳を傾けるとき。ぜひ、彼女の書いた本を読んでください。山本美香さんの遺してくれた言葉を大切にしたいと思います。

*元の取材記事は白河さんの公式ブログに全文掲載されています。
http://ameblo.jp/touko-shirakawa/

*山本さんへのインタビュー記事はこちらです。
【追悼】山本美香さんインタビュー

文/白河桃子

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