蒸し暑くて眠れない! 何度も目が覚める! でもエアコンは苦手……。
そんな困った夏の眠りをぐっすり睡眠に変えるには?10の快眠テクを紹介します!
暑くて寝つけない、途中で目が覚める……。そもそも夏に寝苦しいのは、高温多湿のため体温調節がうまくいかないから。
「眠るときは自然に手や足が温かくなる。手足から熱を逃がすことで体内の温度を下げ、体と脳を休息状態にする。このとき自然に眠たくなる」と日本大学医学部附属板橋病院精神神経科の内山真教授。それを示したのが下のグラフだ。まず皮膚温が上がり、続いて体の内部温度の低下と眠気がやってくる。このプロセスがスムーズにいって初めて快眠が得られるわけだ。
ところが、夏は気温と湿度が高く、汗も蒸発しにくい。体温低下がうまくいかないので、スーッと眠りに落ちていけない。

「だからこそ、この時期は寝室や寝具を眠りやすく整える必要がある」と快眠セラピストの三橋美穂さんは言う。
快眠を妨げる要因はほかにもある。ストレスが多かったり、寝る直前までパソコンやスマホに熱中したりしていると、交感神経が優位になって、なかなか眠りモードに入っていけない。冷え症の人も寝つきが悪くなりがちだ。「手足が冷たく、熱を逃がすのが下手なので、体温が下がりにくい」と内山教授。
明日公開する「眠りチェック」に当てはまる人は、ぐっすり眠れていない可能性が大だ。
また、季節による体の変化も睡眠の質を左右する。内山教授によると、夏は前半と後半で変わるという。「日照時間の影響が大きい。前半は日が長く、体が活動モードになっているので、睡眠時間は普段より短くない、疲れもあまり感じない。ところが、8月後半から9月にかけては日が短くなっていき、体は秋モードへ。睡眠欲求が強くなるので、夏前半の調子で飛ばしていると、睡眠不足と疲れを感じやすくなる」(内山教授)。
月経周期も影響する。黄体期(高温期)は、夜の体温が下がりにくく、ぐっすり眠れないことが多い。「この間は昼間にしっかり光を浴びると昼夜のメリハリがつき、夜の体温が下がりやすくなる」と内山教授。

(データ:Modern Physician 25 : 55-59, 2005より改変)

日本大学医学部附属
板橋病院精神神経科
専門は精神神経学、睡眠学。「寝るときに足がほてる、むずむずするという人は、軽い『レストレスレッグス症候群』の可能性が。これは夏に悪化しやすい。冷やしたり、マッサージしたりすると改善します」

快眠セラピスト
快眠のための環境調整など、実践的アドバイスに定評がある。「湿度が高いと汗が蒸発しにくく、睡眠時の体温が下がりにくい。夏は寝床の湿度が80%にもなるので、温度だけでなく湿度対策も十分に」
取材・文/佐田節子 イラスト/落合恵 構成/中野恵子
日経ヘルス2014年9月号掲載記事を転載
この記事は雑誌記事執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります