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【多汗症】急に汗がひどくなったら注意

2010年7月8日

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暑くなると汗が出る仕組み
皮膚には外気温を、脳(視床下部)には体内の温度を感じるセンサーがある。この二つのセンサーからの温度情報を脳が判断して、体の内部の温度を一定に保つために発汗量を調節する。夏になると、体の外も内も温度が上昇するので、脳は交感神経を刺激し、汗腺からの発汗を促す。一方、ホルモンの分泌異常などで代謝が高まったり、自律神経のバランスが乱れると、“暑さ”とは関係なく発汗するようになる。

 汗を多くかくので、夏は憂うつという人も多いだろう。しかし、汗は人の健康を維持するためには、なくてはならない大切な役割を果たしている。

 「人が汗をかくのは、体表から汗を蒸発させることで熱を逃がして体温を下げるため。汗をかくことで、効率的に体の中の温度を一定に保ち、生きるために最も重要な組織である“脳”を守ることができる」と早稲田大学人間科学学術院の永島計教授は説明する。

 体には、“暑さ”を感じるセンサーが二つある(右図参照)。一つは、体外の温度を感知する皮膚。もう一つが体内の温度を感知する脳(視床下部(ししょうかぶ))。

 これらのセンサーからの情報で体の温度を下げる必要があれば、脳は自律神経の一つである交感神経の働きを活発にして、汗腺からの発汗を促す。暑くなるほど、体温を下げるために大量の汗が出る。また、日ごろから運動するなど汗腺が鍛えられている人ほど発汗しやすい。

甲状腺機能亢進で発汗
動悸やイライラも

 こうした仕組みからではなく、たくさんの汗をかく病気が「多汗症」だ。多汗症には、ただの汗っかきでは済まされない重篤な病気や不調のサインが現れていることが少なくない。

 代表的な例が、甲状腺機能亢進(こうしん)症(バセドウ病)などのホルモンの分泌異常だ。「甲状腺機能亢進症では体中の代謝を促進する甲状腺ホルモンが過剰に分泌されるため、全身に多くの汗をかく。代謝が高まることから、多汗だけでなく動悸(どうき)や体重の減少、イライラといった症状が現れるのが特徴」と五味クリニックの五味常明院長は話す。このほか、副腎や脳下垂体(のうかすいたい)などホルモン分泌を司る臓器の腫瘍でも多汗症になることがある。

 更年期にも発汗が増える。発汗を抑える作用がある女性ホルモンが減るために、汗をかきやすくなる。特に頭部や上半身など、局所的にドッと汗をかく“ホットフラッシュ”という症状は、ホルモン減少に加え、自律神経のバランスが乱れて起こる。これは頭部の汗腺につながる交感神経が過剰に働くためだ。また、大量の汗をかき、尿から腐りかけの果物のにおいがするときは、糖尿病が疑われる。

大量の寝汗をかくなら
血液の病気の可能性も

 「寝汗」も重要な病気のサインだ。「白血病などの血液の病気や、結核の場合、一晩中汗腺から漏れ出すように大量の汗をかくことがある。ミネラル分などが多いベタベタした汗をかくのも特徴」と五味院長。寝汗は通常、体温を下げるために寝入りばなにかくが、これらの病気では微熱があるため、寝ている間中汗をかくのだという。

 一方、人前で緊張したり、ストレスを感じたときに出る汗は「精神性発汗」。特に手のひらやわきの下などに多い。これは、ストレスで交感神経が過剰に反応するために起こる。だから、「解決法は開き直るのが一番。わきの下の汗なら、汗腺につながる神経を麻痺(まひ)させる注射を打つボツリヌス毒素注射(次ページ参照)が効果的だ。手の汗には、神経をブロックしたり切断する治療があるが、体のその他の場所に汗をかく“代償性発汗”が見られるようになるので注意が必要」と五味院長はアドバイスする。

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