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依存症を専門に行う久里浜医療センターが
「ネット依存」の家族会を開設

2013年6月27日

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 スマートフォン、タブレット端末の普及によって、いつでも、どこでもネットにつながりやすくなったことから、学校生活や仕事に支障をきたす「ネット依存」の増加が世界的な問題になっている。そうした現状を背景に、「第2回インターネット依存国際ワークショップ」が5月31日に横浜で開催された。このワークショップで、日本でインターネット外来を初めて立ち上げた国立病院機構久里浜医療センター(神奈川県横須賀市)は、2012年1月から月2回実施している「ネット依存家族会」について報告した。

 「ネット依存家族会」の目的は、ネット依存症の患者やその予備軍を抱える家族のサポート。1回につき、参加費は1050円で各2時間。場所は院内の研修室で行う。対象は同センターネット依存外来の利用者の家族で、初めて参加する際には事前予約が必要だ。1回の参加者は5人前後で、12年1月から今年4月までの30回で全国から43家族113人。10代~20代の子どもの親が9割だが、配偶者や高齢の親がネット依存になり困惑する家族が参加するケースもあるという。その会では、「我が家と同様に、ネット依存で困っている人たちと話がしたい」「子供が、ネットやスマートフォンで何をしているのか親には分からない」「ネットから離れない我が子に、どう接していいか分からない」といった声が聞かれたという。

 家族会では、「ネット依存の基礎知識」「ネット依存その症状、治療、回復」「家族の正しい対応」「ネット上のサービスと用語」「暴言・暴力への対応」などをテーマに専門家の講義を30分聞いた後、医師、臨床心理士、看護師、精神保健福祉士を交えて家族同士でフリートークを行う。会の中で出た話は一切会場外では話さない、他人の発言を批判しない、会以外でのやりとりはしない、名前など話したくないことは話さないのがルールだ。

 ネット依存の家族は、「我が子を殺して、自分も死のうと思った」などと思い詰めている人もいる。しかし、家族会の参加後は、「講義を聞いて知っていることや考えの整理ができた」「学んだ会話方法、対応、心構えが参考になった。試してみたい」「希望や勇気が持てた」「自分一人でないと安心できた」「心が軽くなった」と前向きな感想が聞かれるという。
 
 運営にあたるネット依存治療部門精神保健福祉士の前園真毅氏は、「家族会に参加することでネット依存に苦しみ孤立感を深める家族の不安が軽減し、ネット依存の人との対話の仕方などの知識を習得することで落ち着きを取り戻し、家庭内のコミュニケーションが良好になり家族全体が変化する可能性があるのではないか」と話す。

 同センターの推計では、20歳以上で270万人、未成年者を含めるとそれ以上の人がネット依存状態にある。オンラインゲーム、ソーシャルネットワーク、チャット、ブログなどネットに没頭するあまり、昼夜が逆転したり、睡眠不足になって不登校や離職の問題が起きたり、食事が疎かになって低栄養や骨粗しょう症になる、抑うつ状態になるなどの人も少なくない。しかし、ネット依存の治療を行う医療機関は、現状、久里浜医療センターなどに限られるのが現状だ。

 樋口進同センター院長は、ワークショップの席上、「ネット依存についてはアルコール依存や薬物依存に匹敵、あるいはそれ以上の依存状況が存在するにもかかわらず、本人が自覚しないケースも多く、病気としての認知もされてもいない。エビデンス(科学的根拠)を集めて世界に発信していくことが大事」と強調した。近年、世界的にはネット依存の診断基準の作成が検討されており、来年には同センターが中心になってWHO(世界保健機構)のネット依存に関するミーティングを日本で開催する予定だ。

(医療ライター、福島安紀)

白澤 淳子=日経ヘルス

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