スポーツ量販店を全国で展開するゼビオ(福島県郡山市)は、遺伝子検査で判定した筋肉のタイプに応じて運動や食事などのアドバイスを行う「スポーツ関連遺伝子検査」のサービスを9月1日に開始した。検査結果を踏まえて、理想的なスポーツの選択や効率を上げるトレーニング方法のアドバイスのほか、食事指導など、健康増進に広く役立てたいという。
検査は、口腔内のほお粘膜で調べる。店頭で検査を申し込み、その場で綿棒を使って粘膜をこすって採取すると、2~3週間後に分析結果をもとにした報告書を受け取れる。遺伝子検査は同社が提携する専門機関のジェネシスヘルスケア社が行う。検査結果は、「パワー・瞬発力タイプ」「持久力・オールマイティータイプ」「持久力タイプ」の3タイプに分けられるという。「店頭のスタッフが顧客のタイプを踏まえて、『持久力タイプなのでランニングが合う』『速筋をつける無酸素トレーニングを積極的に』などと、より具体的なアドバイスができる」(ゼビオ広報担当の中村祐美子氏)という。
筋肉は「速筋(そっきん)」と「遅筋(ちきん)」からなる「筋繊維」でできているが、どちらが増えやすいかは遺伝の影響が強いとされる。近年、速筋繊維の新陳代謝をつかさどるたんぱく質「ACTN3(アクチニン3たんぱく質)」を遺伝的に調べる「SNPs(Single Nucleotide Polymorphisms)」解析で、どちらが優勢なのか導き出せるようになった。こうして例えば、「速筋(そっきん)」が増えやすい人は100m走などの瞬発系の運動に、「遅筋(ちきん)」が増えやすければマラソンなどの持久系の運動に向くとされ、昨今のスポーツ界でもタイプに応じた競技適正やトレーニング法の研究が進められている。
同社では、検査結果に応じた運動のアドバイスに加えて、専用のレシピブックも提供する。食事からサプリメントの選び方まで、運動以外の細やかなアドバイスも行うという。「健康志向やスポーツへの関心が高まる中で、個々人のニーズに対応する“パーソナルトレーナー”のようなサービスを展開したい」(中村氏)。検査料は5800円。全国にある一部の「スーパースポーツゼビオ」で検査サービスが受けられる(9月中で11店舗)ほか、今後は検査できる店を増やしてゆくという。
(日経ヘルス、池田 悟)