5月23日・24日、東京ミッドタウンで開催された「WOMAN EXPO TOKYO 2015」。23日は、ボストン コンサルティング グループの現役コンサルタントが登場。日々複雑な問題を整理・分解し、経営課題の解決サポートを行うロジカルシンキングのプロから、思考の整理術やビジネスをスムーズに進めるためのコミュニケーション術を解説いただきました。
「ボストン コンサルティング グループ」は、オフィス82カ所、世界46カ国で展開する経営コンサルティングファームです。日系・外資系の幅広い業界のクライアント企業に対し、経営者の幅広い悩みを解決するサポートを提供しています。
解説は、同社の現役コンサルタントである二宮稔恵さんと梶沙瑤子さん。コンサルティング業務を進める上で、日々どういった「頭の使い方」をしているのか、コンサルティングの基礎から考え方、思考を整理する際のアプローチ、ビジネスをスムーズに進めるためのコミュニケーション術などを教えていただきました。
ロジカルシンキングの基本手法
では最初に、テレビCMの実施について、部下が上司に提案するという簡単なシチュエーションを見ていきましょう。部下が上司に向かって「A社のCMが世の中で評判になっています。我が社もCMを流した方がいいのではないでしょうか?」という提言をします。上司の反応は残念ながら「??」。理解してもらうことはできませんでした。
「これは何がいけないのでしょうか。部下はいろいろ考えた末に上司に提案したのかもしれませんが、話が唐突です。CMを打ったからと行って、業績が上がるかどうかの検討がなされた形跡がありません。相手に自分の考えを説明して納得してもらうには、ロジカルな説明が必要になってきます」(梶さん)
ロジカルシンキングとは、「こうだから、こう考えられる」と道筋を立てて論理的に考える思考法のことです。話の筋道が明確なことで、人と共有しやすいとか、コミュニケーションが取りやすいというメリットがあります。
「弊社がクライアントに提言するときは、すべてロジックに基づいて説明をしています。論理的に整理をして伝えるための秘訣は、大きく分けて2つあります。それは、『話の飛びをなくすこと(So what?/ Why so?)』と、『話の重複・漏れをなくす(MECE=Mutually Exclusive and Collectively Exhaustive)』で、この2つのポイントを意識することが重要です」(梶さん)。
話の重複・漏れをなくす(MECE)
話の飛びをなくすために有効な2つの手法のうち、「So what?(だから何なのか)」は、手持ちの情報の中から提言につながるメッセージを抽出すること、「Why so?(なぜそうなのか)」は提言を具体的にサポートする情報を検証・チェックすることを指します。
また「MECE」は正しく物事の全体像を捉えて、話の重複・漏れを避けるための手法です。
ロジカルシンキングには演繹(えんえき)法と帰納(きのう)法という2つの基本的な推論方法があります。
2つの情報を合わせることで、結論を導き出す
【例】 | |
・ショットが安定しない人はスコアがまとまらない ・Aさんは、ショットが安定しない |
Why so? (なぜそうなのか) |
結論 ⇒ Aさんのゴルフのスコアがまとまらない。 |
So what? (だから何なのか) |
複数の具体的な事実から推論する
【例】 | |
・Aさんは、「私は家族を大事にしている」と言っている ・Bさんも、「彼は家族を大事にしている」と言っている ・Cさんも、「彼は家族を大事にしている」と言っている |
Why so? (なぜそうなのか) |
結論 ⇒ Aさんは家族を大事にしているようだ。 |
So what? (だから何なのか) |