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フィレンツェは、建築の野外博物館

2015年4月24日

ゴシック建築とルネサンス建築が交錯する町

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 前回は、美術館や宮殿、広場を中心に、フィレンツェで活躍した芸術家の絵画や彫刻作品を訪ねました。今回は、建築物にスポット当てます。そもそも世界遺産は、建築物や都市、遺跡など、不動のものが登録対象になっており、建築物は重要な要素。しかも「フィレンツェの歴史地区」にある建築物はほぼ徒歩圏内にあるため、ぶらり建築散歩にはもってこいの町です。町の中心部から外側に向かって歩いてみることにしましょう。

“花の大聖堂”に刻まれたライバルたちの壮絶な闘い

 “フィレンツェの顔”、といえば、やはり町の中心にそびえるサンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂だろう。細い路地を歩いて行くと、突然、赤褐色の屋根と、緑大理石の威容が現れる。高さ100mを超す大ドームと東西153mの身廊を持つ巨大な建物だ。15世紀初頭、ここではある2人の芸術家の壮絶な闘いが繰り広げられた。

赤と白と緑の大理石で装飾された外観に、巨大ドームをいただくドゥオーモ(神の家、大聖堂の意)こと、サンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂。

 「花の聖母」という名を持つこの大聖堂の中で、最初に完成したのは、すぐ脇に立つ大聖堂付属のサン・ジョヴァンニ洗礼堂だった。1401年、その第二門扉の制作者を決めるコンペが開かれた。課題は「イサクの犠牲」。挑戦者7人の中で最後に残ったのは、23歳の彫刻家ギベルティと24歳の金細工師ブルネレスキ。審査を担ったのはフィレンツェの市民である。決着がつかず、共同制作を依頼することになった。しかし、同等も2位もいやだ、と豪語したブルネレスキの撤退によりギベルティが担当することになった。

手前はサン・ジョヴァンニ洗礼堂、右端は、画家で建築家でもあったジョットが手掛けた鐘楼。

 続いて第三の門扉もギベルティが手掛け、黄金に輝く「天国の門」が完成。そう呼ばれるようになったのは、「天国の門のようだ」と絶賛したミケランジェロの言葉に由来する。フィレンツェを訪れ、扉の前に立ったら、旧約聖書の名場面が彫刻された扉の枠をチェックしてほしい。よほどこの門の制作を担当できたことを誇らしく思ったのだろう、ギベルティはちゃっかり自分の顔を彫り込んでいたのだから。

さあ、天国の門に行ったら、ギベルティを探そう。
洗礼堂の東側にある「天国の門」。柵の外は常に人だかりができているが、粘って前列まで近づいてみよう。

 一方、それから17年後、またもコンペが開かれた。今度は大聖堂のドーム屋根だ。建物は1296年に着工され、聖堂部分は1413年に完成していた。が、過去に例のない巨大ドームの工事はとん挫したまま。そこで、再びコンペが開かれ、建築方法を募ったのだった。この時、勝利を勝ち取ったのは、ブルネレスキだった。洗礼堂で彫刻をギベルティに譲って以来、金細工師を断念し、ローマへ赴いて建築を学んだ成果が日の目を見たのだ。

 その工法は、ドームを二重構造にするという画期的なものだった。それにしても、直径約42m、高さ100mを超える大ドーム。それをブルネレスキ1人に任せることを案じた造営局は、ギベルティとの共同制作を依頼。ところが、ブルネレスキには、それがどうにも不愉快だった。ある日、仮病を使い、共同責任者で彫刻家のギベルティに任せたところ、ブルネレスキの思惑通り、素人ぶりが露呈。結局、ギベルティは解任に追い込まれた。そして着工から16年、ブルネレスキの二重構造大ドームが完成する。ライバル同士が火花を散らせた成果は、今もなお石造りの大ドームとして世界最大を誇っている。

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Profile
小野 正惠
小野 正惠(おの・まさえ)
編集プロダクション、エイジャ代表。フリーライターとして、コスモポリタンほか女性誌や朝日新聞、毎日新聞などで執筆。1990年、株式会社エイジャを設立した。旅をメーンに歴史、文化などのテーマで編集・執筆に取り組む。主な作品は、『日本ユネスコ協会連盟 世界遺産年報』のほか、『週刊 ユネスコ世界遺産』『世界遺産夢紀行』『世界遺産検定公式テキストブック』『週刊 京都を歩く』『世界遺産なるほど地図帳』(以上講談社)、『ルネサンス街道の旅』(日経BP社)、『週刊 世界の博物館』『週刊 地球46億年の旅』(以上朝日新聞出版社)、『行って良かった!絶対見たい!世界遺産77』『仏像ワンダーランド』シリーズ(以上JTBパブリッシング)ほか多数。2011年にはアプリ制作会社のリンク・リンクを立ち上げ、世界遺産を中心にしたアプリを制作・販売中。
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