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【最終回】中江有里書評・暖かくじわじわと染み渡る2冊

2015年3月4日

はらだみずき著『波に乗る』/湊かなえ著『絶唱』

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 寒い時期、引きこもりがちなわたしですが、それでもここ最近は「春」の訪れを感じます。

 春らしいパステルカラーの洋服に惹かれ、菜の花や鯛といった春らしい食材を食べたい、と思う。季節が春だからか、わたし自身が春を待ち望んでそういう気分になるのか、冬のような寒い日も、どこからか暖かい風が吹き込んでいるような心持ちでいます。

 そして春は、少しさみしい時期でもあります。特に3月は新年度を前に、さまざまな変化を迎える時期。春だと思ってコートを脱ぎ捨てたら、案外寒くて心許ない・・・・・・そんな時に飲むホットティのように、じわじわと体を染み渡るような本を紹介したいと思います。

 はらだみずき著『波に乗る』(小学館)。

 大学を卒業して一ヶ月。せっかく入った会社を辞めた文哉のもとへ一本の電話がかかってきました。

 「あんたの親父、亡くなったぞ」

 離れて暮らす父親の訃報に驚き、戸惑う文哉。疎遠になっていた父がどのように暮らしていたのか? 謎は深まるばかり。いつしか文哉は父の足跡をたどりはじめます。

 親子といえども、離れて暮らす時間が長くなると、わからないことが増えていくのも当然。それも亡くなってから知ろうと思っても、本人には何も聞くことが出来ません。

 ひとり暮らしだった父の痕跡を残すのは、丘の上の海が見える家。失業中の文哉にとって、唯一ともいえる父の遺産。この家で寝泊まりしながら、父が生前関わった人々と出会い、知られざる父の姿を追っていくのです。

 物語に出てくる「ワイプアウト」という言葉が印象的。サーフィンの用語で(波に乗ろうとした時に、うまくいかず落ちてしまう)を指します。

 就職してすぐ辞めた文哉はまさにワイプアウトした状態。だけど波に乗るチャンスはまた来るはず。文哉は父が亡くなったことをきっかけに、もう一度波に乗ろうとするのです。

 泳ぎ疲れて岸にあがったとき、体が疲れると同時に、ほのかに暖かくなっている。そんな読後感を得ました。

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Profile
中江 有里
中江 有里
1973年大阪生まれ。89年芸能界デビュー。 2002年「納豆ウドン」で第23回BKラジオドラマ脚本懸賞最高賞受賞。 NHK-BS「週刊ブックレビュー」で長年、司会を務めた。 近著に「ホンのひととき 終わらない読書」(毎日新聞社)。 現在、NHK「ひるまえほっと」‘中江有里のブックレビュー’に出演、 関西テレビ「スーパーニュースアンカー」、フジテレビ系「とくダネ!」にコメンテーターとして出演中。新聞や雑誌に読書エッセイを連載中。書評も多く手がける
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