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幸福論 by アラン

本を作るってワクワクの連続――デザイナー・佐藤亜沙美インタビュー

2015年1月27日

【後編】仕事って大変なもの……だからこそ楽しい!佐藤さんのパワーの源とは

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 力強いイラストに、優しい素材の紙、そして古い本のようなタイトル文字――この、書店で目を奪われる『幸福論』の表紙を作り出したのは、私たちと同性代のデザイナーである佐藤亜沙美さん。表紙だけではなく、『幸福論』のデザインをトータルで手掛けられました。パワフルで楽しい本作りを得意とし、いま最も活躍するデザイナーの一人である佐藤さんのインタビューを2回に渡って紹介します。後編の今回は、ご自身のキャリアについてのお話を伺いました。前編はこちら

――今のお仕事につくまで、どんな道のりを歩まれてきたのか教えて下さい。

 まず、高校を卒業してデザインの専門学校に入りました。課題を出されてこなしていくのですが、これが仕事の現場でどう役立つのかいまいち実感がわかなくて、手ごたえがなかったんです。それで、現場に入っちゃったほうが早いと思い、学校を飛び出しました。

 どこで働こうか考えたときに、一番厳しそうなところに入ろうと思って、印刷所を選びました。その時は広告に興味があったので、印刷所のなかの広告制作部に入れてもらって。19歳のときです。

――佐藤さんの仕事は下積みの経験に裏打ちされているのですね。予想通り厳しかったですか?

 そうですね。入稿データを作って印刷してもらうときに、少しでも抜けているところがあると、現場のおじちゃんが受け取ってくれないというような現場です。怒られるでもなく、ただ受け取ってくれない。

 あとは、印刷された何キロもある紙の束を持って、ちょっと都心からは離れたお客さんのところに往復の毎日で。本当にガチな現場でした。

――そんな厳しい現場を耐えられたのはなぜだったんでしょうか?

 なぜだったんでしょうね。でも“働く”って当然きついものだろうと思っていたので、「このぐらいじゃないと!」とは思っていました。進んでいる感じ、できることが増えていっている感じがあって、面白かったです。

――広告制作から、現職である本のデザイナーを志す転機はなんだったんでしょうか?

 わたしが関わっていた広告制作は、クライアントさんから修正や要望がたくさん入ることが多かったのですが、何のための修正なのかわからないこともよくありました。たぶん、直接やりとりしている方ではなくて、その上の方のご意見だったと思います。これは私が新人だったからだと思うのですが、自分がベストだと思って作っているので、修正には意味があってほしいし、良くなっていってほしい。でも、納得できないまま修正することが多かったんです。それで物づくりの実感が少しずつ薄れていって、「広告じゃないかもなぁ」と思いはじめました。

 その時期に、たまたま梶井基次郎の『檸檬』を読んだんです。その中に、本屋さんにレモンという異物を置いて、そのことに興奮し、そのまま店を出るという描写があるんですが、それを読んだ瞬間「これだ」ってピントが合った感じがしました。

 それまでは、広告を通して世界や物事の見え方を伝えたいと思っていたんです。でも、もうちょっと手元にあるような、手で触れるものがいいなと思い始めていたのもあって、『檸檬』を読んで「広告じゃない、本だ」って思って、突き進み始めました。

――その「異物を置く」感覚は、今の本作りにもつながっていますか?

 そうですね、つながっています。この『幸福論』が本屋さんの哲学の棚に、堅めの本と並んで置かれていたら素敵だろうなぁと。「平山さんのイラストがその棚にあるだけで楽しいな」って、棚に並んでいるのを想像してドキドキしながら作りました。

 『檸檬』に出てきた興奮をいつも感じています。例えば可愛いものをつくる場合でも、どこか異質なものになるといいなと思っています。本は古典的な様式美を持っているので、製本されてしまうとだいぶ落ち着いた佇まいになるんですが、『檸檬』のように本屋さんの異物になるものを作りたいといつも思ってます。

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