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幸福論 by アラン

「自分を呼んでいる」と思わせる本を作る―注目のデザイナー・佐藤亜沙美インタビュー

2015年1月26日

【前編】幸福論のデザイン創作秘話と、作品との向き合い方について

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 力強いイラストに、優しい素材の紙、そして古い本のようなタイトル文字――この、書店で目を奪われる『幸福論』の表紙を作り出したのは、私たちと同性代のデザイナーである佐藤亜沙美さん。表紙だけではなく、『幸福論』のデザインをトータルで手掛けられました。パワフルで楽しい本作りを得意とし、いま最も活躍するデザイナーの一人である佐藤さんのインタビューを2回に渡って紹介します。前編の今回は、幸福論の創作秘話や作品作りについて伺いました。

――まず、『幸福論』を読んだ印象を教えて下さい。

 『幸福論』は、興味はあったものの、このお仕事を頂いてはじめて読みました。“論”とつくので、難しくて硬い本という先入観をもたれがちですが、村井章子さんの翻訳が素晴らしいこともあって、すごく自由で面白い! というのが最初の感想でした。今読んでも新鮮ですし、少しぶっ飛んでいるところも魅力的です。

――その印象はデザインにも活かされているのでしょうか?

 まず考えたのが、いかにも哲学書然とさせてクラシカルに見せたらもったいないということでした。多分アランって、ちょっと変わった面白おじさんだったのではないかと思ったので、ずっしりとした哲学書としての『幸福論』にはしてほしくないだろうなと想像しました。現代的でややくだけた雰囲気にしたほうが、この作品の魅力が伝わるし、面白いと思ったんです。

 アランは「感傷的になるな、問題はシンプルだ」と繰り返し言っているので、ドライな印象になるように心がけました。

――この本は楽観主義な内容ですよね。

 そうなんです。「こんなにうまくいくものなのか!?」って思うぐらい(笑)。

 でも、ちょっとつらいときに読むと、物事の見方が変わるんですよね。近い距離で物事を見てしまっていたけれど、遠くから見たり、斜めから見たりもできるって気づくんです。そうすると本当に物事の見方が変わって、面白い。とてもシンプルですが、すごいことですよね。

――佐藤さんがいつもデザインされているものとは違いましたか?

 作品との向き合い方に違いはないです。

 丁寧に向き合って、自分が一番その作品を楽しんでいる状態になるまで読みこんで、作っていきました。

 本屋さんで本を手にとるときに、作り手が楽しんで作っているかどうかが伝わっていると思うんです。実際に自分も本屋さんでそれを感じるのですが、これってすごいことでもあり、恐ろしいことだと思っています。

 それからもうひとつ、できるだけ新鮮に感じられるようなデザインになるようにはどうしたらいいか、いつも考えています。

――では、この本ならではのところは何でしょうか。

 この作品は少しレトロな印象のほうが、逆に今新鮮に映るのでは、と思いました。それで辞書みたいに、表紙は皮のような紙を使って、カバーとしてビニールをかけたんです。そして、そんなレトロな素材を使いながら、ものすごく現代的な平山昌尚さんのイラストを使わせていただきました。

 クラシカルな部分をどう現代的な見え方にするかの加減はとても難しかったです。知的にしすぎると“哲学書然”としてしまう。でも、くだけすぎると作品から離れてしまう。このバランスが難しくて、一番時間がかかったところでもあります。

――中のデザインもおしゃれで素敵です。

 ありがとうございます。書体の選び方や文字の大きさ、レイアウトや余白も、わたしのように興味はあるけど、まだ読んだことがない若い人に読んでほしいと思って、できるだけ難しく感じないように心がけました。日頃から読書をしている人というよりも、外で遊ぶことが大好きなサーファーみたいな人……。

――サーファーですか!?

 車に『幸福論』と犬を乗せて海に出かけていくイメージです。海でサーフィン仲間に「何読んでんの?」と聞かれて「幸福論だけど」と答えている場面を想像しながら……。

 というのも、どんな人に対しても開かれているデザインを作りたいといつも思っているんです。「わかる人にだけ手にとってもらえればいいです」っていう佇まいよりは、誰が手にとってもいいような、心を開いている感じの――できているかわからないんですが、心をオープンにしている本を作りたいといつも思っています。

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