こんにちは、社会保険労務士の佐佐木です。職場によって労働条件は様々ですが、年次有給休暇はみなさんにとって身近なものではないでしょうか。今回は、年次有給休暇に関していただいたご相談についてシェアしたいと思います。
もっと私、もらえるはず?
転職して、今の会社に勤めることになった信代さん。入社してから半年が経った頃、これからは年次有給休暇を使っていい、と上司から言われました。

念のため、有給休暇は何日あるか聞いてみたところ、「7日」ということ。
ちょっと少ないような気もしましたが、「まぁ、そんなものかな?」と思ったそうです。
ところがある日、別の会社に勤める友人たちと食事に行ったときに、自分の有給休暇は少なすぎる、と感じたそうです。
ある友人は、有給休暇を使って海外旅行へ行っても、まだ休みが使いきれない様子でしたが、そもそも連続して1週間も休暇が取れること自体、信代さんの会社では考えられないことでした。
それ以来なんとなく、「本当はもっと有給休暇をもらえるはずでは?」と、ずっと気になっている信代さん。「うちの会社って、おかしくないですか?」と悩みを打ち明けてくれました。
有給休暇は2年の命
法律では、「使用者は、その雇入れの日から起算して6ヵ月間継続勤務し全労働日の8割以上出勤した労働者に対して、継続し、又は分割した10労働日の年次有給休暇を与えなければならない」と定めています(労働基準法第39条)。
要は、入社して6ヵ月の間、8割以上出勤した人は、10日間の年次有給休暇を取得できるということです。
たとえば、4月1日に入社した場合、10月1日から10日間の有給休暇の権利が与えられます。出勤率は8割以上であることが必要ですが、多少病気で休んだとしても、通常であれば8割の出勤率はクリアできるものでしょう。
6ヵ月で10日、その後1年ごとに付与日数は増えていき、6年6ヵ月以上経過すると、付与日数は20日となります(下表を参照)。労働基準法では、20日が上限となっているので、10年働いても、上限は20日です。
会社がこの基準を上回る日数を付与することは構いません。しかし、この基準を下回る日数は違法となります。

ところで、使いきれない有給休暇は、いったいどうなるのでしょうか? 会社によっては、「有給休暇を簡単に取ることができない」という悩みもあるかもしれません。
有給休暇には時効があります。付与された年に消化できなかった日数は、次年度に繰り越すことができるしくみになっています。つまり、2年の命なのです。
長くお勤めの方は、繰り越し分と当年分を合わせて、最長で40日の有給休暇をお持ちの方もいらっしゃることでしょう。
時効の2年が経ってしまうと、残念ながら有給休暇は消滅してしまいます。