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“理想の家族”のイメージからはみ出してしまったら

2014年12月10日

朝比奈あすか著『不自由な絆』/窪美澄著『水やりはいつも深夜だけど』

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 昨年12月に生まれたわたしの甥っ子がようやく伝い歩きできるようになりました。

 生まれる前から、そして生まれてからの成長を見続けていると「笑った」「食べた」「ハイハイした」「立った」「歩いた」という過程に感動している日々です。

 同時に、この子に何かあったらどうしよう、と怖くなります。家の中でも、高所から落下の危険、誤飲の可能性などあって親は目を離せない。外に行けば数え切れないほど。生きることは危険と隣り合わせ。ひたすらこの子が無事に生きてほしい、なるべくトラブルに遭わずにいてほしい。一人遊びする無邪気な様子を見ると、この平和な時間がずっと続くといいのに、と思います。

 きっとわたしも幼い頃、こんな風に周囲に見守られてきたのでしょう。その上に今の自分があるのだとあらためて感じます。

 世の中には危険がいっぱい。美しいだけじゃない、だけどたしかに美しいものもある。そんなことを心に思いながら読んだ二冊を紹介します。

朝比奈あすか著『不自由な絆』(光文社)。

 主人公は二人の女性。かつて同じ学校の同級生だったリラと洋美は乳児の予防接種会場で再会し、ともに同い年の子供がいることを知りました。

 同い年の男の子を持つママ友として付き合うようになりますが、洋美の子がリラの子に傷つけたことで、二人の関係はギクシャクとしていきます。

 おとなしい息子に苛立つリラ、きかん坊の息子に手を焼く洋美、どちらの感情も真に迫っていて、読みながら「どう育てたらベストなのだろう」と惑いました。

 子育ては母と子だけのものではありませんが、妊娠、出産、母乳を与えることは母でなければできない。宿命的に子供との距離が誰よりも近いもの。子供に問題が起きれば、自分に原因があるのでは、と思うのも自然なことなのかもしれません。

 「こどもってね、育てたように育つのよ」と実母に言われて傷つく洋美。

 子育てに関心のない夫に本心を話せないリラ。

 理想の母親になれなくて苦しむ二人に、心をチクチクと刺されっぱなしでした。

 子供を持ったことで、社会的に弱者になっていく二人ですが、子供の成長と共に少しずつ変わっていきます。その変化には過酷なものもありますが、地に足をつけて歩く力強さに満ちていきます。

 母であることを超えて、リラと洋美が歩み寄ろうとする姿は感動的でした。

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中江 有里
中江 有里
1973年大阪生まれ。89年芸能界デビュー。 2002年「納豆ウドン」で第23回BKラジオドラマ脚本懸賞最高賞受賞。 NHK-BS「週刊ブックレビュー」で長年、司会を務めた。 近著に「ホンのひととき 終わらない読書」(毎日新聞社)。 現在、NHK「ひるまえほっと」‘中江有里のブックレビュー’に出演、 関西テレビ「スーパーニュースアンカー」、フジテレビ系「とくダネ!」にコメンテーターとして出演中。新聞や雑誌に読書エッセイを連載中。書評も多く手がける
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