こんにちは。著述・翻訳家の上野陽子です。好きになった人は完璧じゃないし、欠けたところがあるのだけれど……なぜかこの人がイイと思えるのが恋というもの。今回は、小説と子供の絵本から、人を好きになるという自分の欠けら探しのお話です。

人を好きになるのって、
その人が完璧だからじゃない。
完璧じゃないとわかっているのに、
愛してしまうものなの。
You don't love someone because they're perfect, you love them in spite of the fact that they're not.” ―My sister’s keeper

ジョディ・ピコー
Jodi Picoult
作家(1966 年~)
プリンストン大学在籍中に雑誌Seventeenに短編小説を発表。様々な職についた後、ハーバード大学で修士号を取得。’92年に『Songs of the Humpback Whale』で作家デビューをした。

線で描かれた丸い顔のキャラクターが地面を転がっていく「ぼくを探しに」*、という絵本があります。
まるい顔の一部が欠けたキャラクターが、「何かが足りない それでぼくは楽しくない 足りないかけらを 探しに行く」と、転がり、歌いながら、自分に足りないカケラを探していくお話。
花のにおいをかいでみたり、みみずとお話をしたり、欠けているから速く転がれなくて、カブトムシに追い越されたり……楽しみながら、野を行き、海を越えて進みます。
いろんなカケラを見つけても、それは小さすぎたり、大きすぎたり。
ピッタリ! かと思ったら落としてしまったり、きつくくわえすぎて壊れてしまったり……。
そうしてやっと、探しもとめる自分のカケラに出会います。
「はまったぞ ぴったりだ やった! ばんざい!」
でも……
私たちの誰もが、どこか欠けていたり、足りない部分があったりするもの。でも、あちこち転がっていくうちに、自分にハマるカケラが見つかるかもしれないから、また転がって。
人を好きになるのって、その人が完璧だからじゃない。
完璧じゃないとわかっているのに、愛してしまうものなの。
恋にあてはめてみると、その人がまんまるじゃなくて、どこか欠けていても、自分と形があう部分があればいいだけ。でも、まんまるになっても、やっぱりどこか不具合は見つかるものだけど……それが、人を好きになるってことみたい。
【ひとことサプリ】
完璧ではなくても、互いの欠けらを埋める人に会うために
自然を楽しみ、街を歩いて……思い切って出かけて行こう!
*「ぼくを探しに」 シェル・シルヴァスタイン (著), 倉橋 由美子 (翻訳), 講談社 1979年
* Shel Silverstein, The missing piece, HarperCollins 2006