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渋谷区で開始された同性カップル申請、第1号の、元宝塚・東小雪さんって?

2015年10月28日

東小雪さん「人は単純な図式では割り切れないもの」~元タカラジェンヌの光と影

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 東京都渋谷区で、2015年10月28日から「パートナーシップ証明書」の交付受付を開始しました。これは、「男女の婚姻関係と異ならない程度の実質を備えた、戸籍上の性別が同じ二者間の社会生活における関係を“パートナーシップ”と定義し、一定の条件を満たした場合にパートナーの関係であることを証明するもの」(渋谷区のホームページ)です。この申請第1号となったのが、元タカラジェンヌの東小雪さん。

 著書『なかったことにしたくない 実父から性虐待を受けた私の告白』で、実父からの性虐待を告白した、元タカラジェンヌでLGBT(レズビアン・ゲイ・バイセクシュアル・トランスジェンダーの頭文字で、 セクシュアル・マイノリティの総称として用いられる)アクティビストの東小雪さん。これまでのメディアでは、性虐待のこと、同性のパートナーとの結婚生活などがフォーカスされてきた彼女。しかし本連載の著者の大川内麻里さんは、実は性虐待の影には、母親の存在が大きかったのでは――そんな確信めいた思いを抱きました。そんなふたりの母娘関係対談、前編をお届けします。

●東 小雪(ひがし・こゆき)
1985年、石川県金沢市生まれ。元宝塚歌劇団花組男役あうら真輝。2010年秋より芸名とセクシュアリティをカミングアウトしてLGBT支援に携わる。2013年12月、株式会社トロワ・クルールを設立し、テレビ・ラジオ出演、執筆、講演活動やイベント開催などを行っている。著書に『なかったことにしたくない 実父から性虐待を受けた私の告白』(講談社)、『レズビアン的結婚生活』『ふたりのママから、きみたちへ』(ともにパートナーの増原裕子氏との共著、イースト・プレス)。オンラインサロン「こゆひろサロン」主宰。
ブログ: http://koyuki-higashi.blog.jp
Twitter:@koyuki_higashi

■よみがえった父からの性虐待の記憶、看過し続けた母

大川内:長く精神的な苦しみのなかにいらしたなかで、その原因が家族関係にあることに気付かれたそうですね。そのなかで、実のお父さまから受けた性虐待の記憶がよみがえった。

東:表に現れていたわかりやすい問題としては、起き上がれない、働きに出られない、家事もできない、眠れない……そんなうつ症状がとてもひどくて苦しんでいました。リストカットや処方薬のオーバードーズを繰り返したり、突発的に二階から飛び降りて大怪我を負ったりもしました。

 当時は記憶がかい離していて、親からの虐待、ましてや性虐待なんて思いも及びませんでした。でもカウンセリングで指摘され、記憶をたどるうちに、失われていた幼いころのお風呂場での記憶が、まざまざとよみがえったんです。すでに父は亡くなったあとのことでした。そして、当時のことを思い起こすうちに、母も性虐待の事実を知っていながら、看過し続けていたことに気付きました。

 それをきっかけに本を読むなどしはじめたら、自分が幼いころから母にされてきたことは、「虐待」という名前をつけたくはないけれど、なにかおかしいと気付きはじめたんです。

大川内:小雪さんは、カウンセリングの場で、お母さまにお父さまから性虐待があったとを告げた。お母さまは一言、「さもありなんって思うよ」と言われましたね。でもそのあとのお母さまは、「性虐待なんてなかった」と事実を否認したり、かと思えば「悪いのはお父さんであって、お母さんは悪くない」とお父さまの加害を前提にした発言をしたり。

 また幼いころから長年に渡って続いた性虐待が終わりを告げたのは、中学生になった小雪さんにお母さまが言った「生理がきたんだから、お父さんとお風呂に入るのはやめなさい」という一言がきっかけでした。

 小雪さんにとって、お母さまの言葉には強い絶対性があったので、それに従った。従ったことで、性虐待がやんだ。

 ある種、お父さまからの性虐待も、お母さまのコントロール下にあったのではと感じました。

東:母がどこまで意識的だったかは難しいところですし、性虐待があったこと自体を否定しているくらいですから、母自身は否定するでしょうが……コントロールというか、彼女の「判断」ではあったと思います。お風呂場で行われている行為に気付いていた。でも止めなかった。しかし「生理になったから、お父さんとお風呂に入るのはやめなさい」という母の一言で、それがやんだ。

 この一連の事実を大人になった私が考えると、知っていたが助けなかった、子どもを連れて逃げるとか離婚するとかいう選択肢もあるなか、そうしなかったというのは、彼女の判断だったと言えると思います。

■母と距離を置いたことで、コントロールが薄れてきた

大川内:いまはお母さまとは距離を置かれているんですね。

東:母と距離を取ろう、離れようと決断するのは、とてもつらいことでした。

 母との泥仕合のなかに、いつまでも留まっていようとしてしまう自分がいたんですね。20数年間、ずっと苦しさのなかに生きてきたので、抜けだしたら楽になれるのかもしれないけれど、そんな世界が想像もつかないから踏み出せない。言ってみれば、私はどっしりと底辺が落ち着いた三角形(△)で安定するべきところを、不安定な逆三角形(▽)で安定してしまっていたんです。

 また母と離れることに対する罪悪感もすごかったですね。

大川内:私も母とは距離を置いています。それなしには、結婚生活も育児もまともにできなかった。距離を置いてはじめて、徐々にではありますが、自分の本当にしたいことを感じ取って、自分のやりたいように振る舞えるようになってきました。

東:時間がかかりますよね。私もまだその過程にいます。去年の夏頃は、著書の目次を考えているころでしたが、私のなかの母娘関係は、まだまだ未解決だったし混乱していました。

 大人になってからも、母のコントロール下に置かれている感覚が、ずっとあったんです。距離を置いて、いまようやくその感覚が薄れてきているのを感じます。嬉しいですね。やっと大人になれた、自立できたという手応えを感じています。

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Profile
大川内 麻里
大川内 麻里(おおかわうち・まり)
1977年、福岡県生まれ。著述家・編集者。自身の被虐待や母娘関係の問題、不登校や高校中退(大検を取得し進学。心理学専攻)、離婚、うつ病などの実体験をもとに活動。
執筆、講演や心理相談のほか、出版やイベントのプロデュースも手掛ける。
naked heart代表。親友である元アイドルのチバレイこと千葉麗子さんとともに、自身のうつ病体験を赤裸々に綴った『チバレイ&マリの壮絶うつトーク~うつ女子ほど、仕事も恋もうまくいく!~』も話題を呼び、多くの女性たちから共感の声が寄せられた。著書に『這い上がるヒント~諦めなかったお笑い芸人30組の生き様』(東邦出版)、『うまくいかない自分から抜け出す方法』(かんき出版)ほか。『相方~ビートたけしとの幸福/ビートきよし 著』(東邦出版)の構成も手掛けた。
*公式サイト:http://naked-heart.jp/ *Twitter&Facebook:OkawauchiMari
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