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制度が整えば、仕事と子育てを両立できる?

2014年11月5日

優れた制度のフランスにも、日本と共通の悩みはある

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筆者:この連載も回を重ねてきたけれど、これまで紹介してきたフランスの女性たちの生き方を見て、どう思った?

編集者S:そうですね……。最初のうちは「フランスだから、そんな風に前向きに生きられるに違いない。日本社会では、問題ばかりが多すぎて、無理! ムリよー!!!」と叫びたい気持ちにもなりましたが(苦笑)。でも、1人ひとりのお話にじっくりと耳を傾けてみると、皆さん、普通じゃ乗り越えられないような壁にぶつかったり、愛する人との別れがあったり……。それでも前向きに生きる姿には、元気をもらえました!

 ただ……どこかでやっぱり、「よその国=フランスだからできるのよね」という思いがあって、なかなか現実の生きにくさを解消するには至りません(溜息)。

筆者:その気持ちは、私にも理解できるわ。私自身も、日本で一般的に言われているように、フランスは男性が女性に優しいからとか、子育ての制度が充実しているから、仕事も子育ても両立しやすい、だから出生率も上がっているんだ、と、ステレオタイプに言われていることを半ば信じていた部分があって、それをインタビューの時に、しばしば口にしていたの。

 そうすると、「それって、どういう意味?」とか「日本人がそんな風にフランス人女性を見ているとしたら、おかしいわ」とかいう返事が返ってきたの。じゃあ、実際のところはどうなんだろうって、さらに突っ込んだ話を聞いてみると、働く女性(カップル)の周辺で起こっている子育ての問題などは、日本とほぼ変わらないと思っていいということがわかったのね。

編集者S:それは例えば、待機児童の問題などもそうですか?

筆者:そう! 特に首都パリで子育てをするのは、地方で子育てをするよりもずっと大変! それは、東京とその周辺で働き暮らす人たちの状況ととても似通っていることがわかってきたの。ただ、その問題をどうやって回避していくか、という方法については、フランスのやり方で参考になる部分もある気がするのね。

 そこで最終回を前にした今回は、「子ども手当」「結婚のスタイル」「待機児童」など、日本でもよく語られる三つの問題について、フランス女性の本音(コメント)などを交えて、子育ての実情を紹介します。

   ◇   

手当が充実しているから、子どもを産む!?

 少子化とその対策について、成功例としてしばしば取り上げられるフランス。この連載の第1回でも紹介したが、出生率は2.0を超え、子どもをとりまく制度が充実していると言われている。日本で報道される記事の中には「フランスでは、子どもを多く産めば産むほど、手当が増えるので(特に3人目から)、結果的に子どもが増えたんだ」という内容のものも散見する。

 私もそうした記事を半ば鵜呑みにしていたので、

 「フランスでは、子ども手当が充実しているから、子どもを産み、育てやすくて、子どもの数も増えたんですよね?」などと、つい質問をしていた。

 すると、返ってきた返事はこうだ。

 「子どもが1人しかいないから、子ども手当はもらっていない」
 「2人で働いていて収入が多いから、平均的な家庭と比べると手当の恩恵はこうむっていないと思う」

 そして、逆にこういわれた。

 「何で、手当が充実していると、子どもを産んだり、育てやすいと言えるの? 地方ならともかく、パリで出産・子育てをしていくのは大変よ!」

 いったい、どういうことなのだろうか。

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増田ユリヤ
増田ユリヤ
ジャーナリスト 1964年、神奈川県生まれ。高校の日本史や世界史、現代社会の講師をしながら、NHKテレビ・ラジオのリポーターを務める。日本テレビ「世界一受けたい授業」にも出演。日本と世界の教育現場の取材を積み重ね、フィンランドやフランスでの取材を続けるうちにフランス人の知人が増え、フランス女性の生き方を取材するようになった。大の犬好きで犬に関する著作もある。主な著書に『新しい「教育格差」』(講談社現代新書)、『教育立国フィンランド流 教師の育て方』、『移民社会フランスで生きる子どもたち』『突破する教育』(いずれも岩波書店)ほか多数。
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