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幸福論 by アラン

新訳で読むアラン『幸福論』―占いとは

2014年10月10日

「先のことは知りたがらず、足下のことだけを考える方がよい」

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 「もう深刻ぶるのはやめてのんきにやろう」と語るフランスの哲学者・アラン。『幸福論』とは、アランが書いた短いエッセーの中から、幸福に関するものを選んでまとめた哲学書です。本連載では、約90年も前に書かれた名著『幸福論』の中から10本を厳選し、新訳でお届けしていきます。アランの考えに触れることで、複雑に見えた困難や悩みが形をかえたり、目の前の景色が違って見えたりするかもしれません。さぁ、のびをして、あくびをして、頭の中をひっくり返そう!

翻訳/村井章子 ブックデザイン/佐藤亜沙美 イラスト/平山昌尚

自分の未来

 知り合いの男が手相を見てもらったことがある。退屈しのぎに運勢を知りたくなっただけで、信じるつもりはないと言っていた。だがもし事前に相談されていたら、きっと私は止めただろう。なぜならそれは、危険な退屈しのぎだからである。まだ何も聞いていないうちは、信じないと言うのはたやすいし、たいていの人がそう言うだろう。そもそもその時点では、信じるべき何物もない。聞いた後に信じないでいることは、始めはたやすいがだんだんにむずかしくなる。そして占い師はそのことをよく知っているのだ。「信じないとおっしゃるなら、何を怖がるのですか」と誘って罠を仕掛ける。私自身のことを言えば、信じてしまうことが怖い。いったい何を言われるかわからないではないか。

 占い師は、自分の言っていることを信じているのだと思う。もしほんの気休めを言うつもりなら、誰にでも予測のつくようなありきたりのことを、どうとでもとれるように伝えるだろう。「いくらか厄介ごとに見舞われ、小さな失敗もします。ですが最後は成功なさるでしょう。敵も作りますが、いつかはあなたが正しいことを相手も認めますよ。それまでの間、誠実なお友達があなたをずっと支えてくれるでしょう。あなたのいまの心配事については、近いうちにきっと一通の手紙が来て……云々」。これならいくらでも続けられるし、誰にも害はない。

 だが占い師が自分は本物だと信じていたら、あなたに恐ろしい不幸を告げる能力を備えていることになる。あなたが強靭な精神の持ち主なら、笑い飛ばすだろう。それでもやはり言われた言葉は記憶にとどまり、夢や空想の中にふとよみがえっては、すこしばかり胸騒ぎを覚えさせることだろう。そしていつかある日、占いの正しさを信じさせるような出来事が起きるかもしれない。

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