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幸福論 by アラン

新訳で読むアラン『幸福論』―自分の未来

2014年10月3日

「『避けられない未来』という幻想は退治できる」

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 「もう深刻ぶるのはやめてのんきにやろう」と語るフランスの哲学者・アラン。『幸福論』とは、アランが書いた短いエッセーの中から、幸福に関するものを選んでまとめた哲学書です。本連載では、約90年も前に書かれた名著『幸福論』の中から10本を厳選し、新訳でお届けしていきます。アランの考えに触れることで、複雑に見えた困難や悩みが形をかえたり、目の前の景色が違って見えたりするかもしれません。さぁ、のびをして、あくびをして、頭の中をひっくり返そう!

翻訳/村井章子 ブックデザイン/佐藤亜沙美 イラスト/平山昌尚

あくび

 ものごとのつながりや因果関係をよく理解していないと、運命に押しつぶされることになる。予言や占い師の言葉は希望を殺しかねないし、予兆だの神学的観念だのはどこにでも転がっている。たとえば、家の下敷きになって死ぬと予言された詩人の話は読者もご存知だろう。詩人はあわてて外に出た。だが天は見逃さず、詩人の頭の上に鷲が亀を落とした。どうやら鷲は禿頭を石と取り違えたらしい。また別の話では、ある王子が獅子に殺されるという神託があった。そこで侍女たちは王子が外に出ないよう見張っていたが、王子は獅子を描いた壁掛けが気に入らないと言って拳で叩き、突き出ていた釘で怪我をして壊疽(えそ)で死んだ。

 この手の話が言いたいのは、人間の運命は神が予定しているということである。この考え方はのちに神学者が教義に取り入れているが、要するに、何をしようとその人の運命は決まっているということだ。これはすこしも科学的ではない。この宿命論は「原因はどうあれ結果は同じ」と言っているのと同じだが、原因がちがえば結果がちがうことを私たちは知っている。だからこう考えれば、「避けられない未来」という幻想を退治できる。たとえば私が、何日の何時にどこそこの壁に押しつぶされると知っているとしよう。すると、私が知っているというそのことによって、予言はもはや当たらなくなる。そしてこれは、ふだんの生活でいつでもあることだ。私たちが事故を避けられるのは、事故を予測できるからである。道の真ん中で立ち止まったら自動車に轢(ひ)かれるだろう。でも私は立ち止まったりしない。このように、合理的に予測できることは起こらないのである。

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