• ビジネス
  • xTECH
  • クロストレンド
  • 医療
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版
  • 日経BP

幸福論 by アラン

新訳で読むアラン『幸福論』―死について

2014年9月19日

戦争の本当の原因は、一握りの人間の退屈にある?

このエントリーをはてなブックマークに追加
Facebookでシェア

 「もう深刻ぶるのはやめてのんきにやろう」と語るフランスの哲学者・アラン。『幸福論』とは、アランが書いた短いエッセーの中から、幸福に関するものを選んでまとめた哲学書です。本連載では、約90年も前に書かれた名著『幸福論』の中から10本を厳選し、新訳でお届けしていきます。アランの考えに触れることで、複雑に見えた困難や悩みが形をかえたり、目の前の景色が違って見えたりするかもしれません。さぁ、のびをして、あくびをして、頭の中をひっくり返そう!

翻訳/村井章子 ブックデザイン/佐藤亜沙美 イラスト/平山昌尚

死について

 一国の元首の死は、死について深く考える契機となる。いたるところににわか神学者が現れ、自己省察にふけり、死という万人共通の条件に思いを巡らす。だが、そもそも私たちは生きている者としてしか自らを考えることができないのだから、死についての思考には対象がないと言える。そこで私たちは落ち着かなくなり、この抽象的で形のない脅威を前にして、どうしたらよいかわからなくなる。優柔不断は最大の害悪だと言ったのはデカルトだが、まさに私たちはそれに陥り、なす術がない。首をくくろうとしている人の方が、まだましである。釘と縄を選ぶことから最後の一蹴りまで、全部自分で決められる。また、痛風の人が足の置き方に気を配るように、たとえひどい病気であっても、それぞれに実際的な配慮や工夫を必要とする。

 ところが健康そのものなのに死を考える人の状態というものは、いささか滑稽である。死にしても、いつ来るかわからない。それなのに死を考えてしばしとりとめもなく動揺し、やがてとめどがなくなる。こうした興奮状態は情念そのものである。こんなことをするぐらいなら、トランプ遊びでもしたらよい。トランプは明確に定義された問題、下すべき決断、短い時間的猶予を与えてくれ、考えることが好きな人にとってはありがたい代物である。

 人間は勇敢な生き物である。時と場合によってではなく、本質的に勇敢である。行動することも考えることも、勇気を持って踏み出すことにほかならない。危険はどこにでもあるのに、人間はすこしも恐れない。自ら死地に赴き死に立ち向かう人をあなたも目にしていることだろう。ただ人間には、死を待つことはできない。

この記事をSNSにシェアする

このエントリーをはてなブックマークに追加
Facebookでシェア

Facebookコメント

※Facebookのコメント機能は、Facebookのソーシャルプラグイン機能を用いて実現してい ます。本機能、およびコメントの内容について、日経ウーマンオンラインは一切の責任を負い ません(日経ウーマンオンラインからのコメントを除く)。また、コメントを非表示にしたり、機能を停止することがあります。

関連キーワードから記事を探す
エンタメ

Topics

CloseUp

WOL Selection

PAGE TOP

ログインしていません。

  • ログイン
  • 無料会員登録

Pickup

Focus

最新刊のご案内

仕事を楽しむ 暮らしを楽しむ日経ウーマン 12月号

もっと健康に、もっと美しく日経ヘルス 12月号

働くママ&パパに役立つウェブマガジン日経DUAL 11月号

一生お金に困らない!お金がどんどん増える本 ミニサイズ新装版

まんがで分かる!やせる食べ方

日経ウーマンオンライン おすすめの本

日経ウーマンオンライン

広告をスキップ