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休みがなくても自分をリセットするには

2014年8月6日

原田ひ香著『ミチルさん、今日も上機嫌』/柴崎友香著『春の庭』

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 夏の大型連休を目前にいろいろと計画をたてている方、いらっしゃるかと思います。わたしものんびり休み……と言いたいところですが、我が仕事にこれといった休みはありません。たとえ休みがあっても休むことを躊躇してしまう。これには理由があります。

 もし夏に休みが取れたとして、頭の中では、
「どこかへ行きたい」「でもどこも混雑している」「そのうち暑くてやる気がなくなる」「じゃあもういつもどおりにしよう」

 流されるままの日常、年齢を重ねるとともにだんだん流れに逆らうことができなくなっているような気がします。会社員ではないので、社員で同時に、あるいは順番に休みを取るということもなく、なんとなくだらだらと仕事をして、休みをやりすごしている。

 でも人間は時にリセットも必要です。それを手軽にできるのが読書の時間。自分をリセットするための二冊を紹介します 。

 原田ひ香著『ミチルさん、今日も上機嫌』(集英社)。

 主人公は山崎ミチル・45歳。就職は引く手あまた、お金が有り余ったバブル時代を謳歌したミチルは現在シングル。初めて男に裏切られたショックで仕事を失ってしまった。元旦那に譲ってもらったマンションと僅かな貯金のみでは心もとない。チラシ配布の仕事を始めることになるのですが……。

 わたしは高校1年で仕事を始めたので、ちょうどバブルの最後のあたり。バブルはまだまだ続く、終わるはずがない、と信じられていた頃だと思います。

 バブル終了は平成2年ごろと言われていますが、たしかにわたしが高校卒業のころにはすっかり景気は冷え切り、就職氷河期へ突入してきた、と記憶しています。

 バブルがもたらしたものを当たり前のように受け取っていたミチル。それは空気や水と同じくらい自然なもので、手に入れようと思わずとも手に入るものと考えていたのかもしれません。

 ミチルは失職後、再就職がうまくいかず、やむなく始めたチラシ配りから、ある出会いをします。そこから少しずつ細い糸をたぐり寄せるように、ミチルの中で少しずつ変化が起こる。

 悲観しすぎず、諦めもせず、時々過去を振り返りながら生きるミチル。終盤で元旦那からかけられた「物欲しげに生きてる」というひどい言葉も、冷静に、かつての自分を表す言葉だと受け止めています。

 大きな物語ではありません。少し特殊な時代を過ごしてきた女性が、あらたに生きなおす姿に清々しい思いがしました。

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中江 有里
中江 有里
1973年大阪生まれ。89年芸能界デビュー。 2002年「納豆ウドン」で第23回BKラジオドラマ脚本懸賞最高賞受賞。 NHK-BS「週刊ブックレビュー」で長年、司会を務めた。 近著に「ホンのひととき 終わらない読書」(毎日新聞社)。 現在、NHK「ひるまえほっと」‘中江有里のブックレビュー’に出演、 関西テレビ「スーパーニュースアンカー」、フジテレビ系「とくダネ!」にコメンテーターとして出演中。新聞や雑誌に読書エッセイを連載中。書評も多く手がける
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