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塩村都議の過去バッシングに見る女性差別

2014年7月9日

ヤジ問題で考える「建前」と「ルール」と「人権」

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 すでに多くの人が語っているが、都議会のヤジ問題について、あらためて考えてみよう。

 6月18日に開かれた東京都議会の本会議で、みんなの党の塩村文夏議員が妊娠や出産に悩む女性への支援策について、都側に質問していた際に、男性の声で「自分が早く結婚したらいいじゃないか」、「産めないのか」(朝日新聞の音声分析では「自分が産んでから」)というヤジが飛び、その場では笑いまで起きた。

 塩村議員はその場では苦笑して質問を続けたものの、質問を終え着席したあと涙をハンカチで拭いた。

 その場では問題にならなかったが、塩村議員がヤジについてツイートしたことで、一気にニュースになり、国内ではなく海外でも「男女差別の国日本」としてとりあげられたのだ。

 「自分が早く結婚したらいいじゃないか」発言をしたと疑われた自民党の鈴木章浩議員は、メディアに対して5日間も否定し続けたが、自民党の議員総会が鈴木議員の発言であると明らかにし、本人も塩村議員に謝罪、さらに自民党会派離脱を発表した(議員は辞職せず)。

 しかし、それ以外のヤジについての特定は行われないままである。このまま幕引きをはかろうとしているのだろうが、名乗り出ようとしない発言当事者の卑怯さには本当にあきれ、軽蔑する。

● どんな過去があっても差別を受けてはならない

 その後、塩村議員がタレント活動していたということから、本人の過去へのバッシングも多く行われた。そのほか、「泣くのではなく言い返せ」という声、外国人記者クラブでの会見をしたことで「外国に恥をさらすな」という声も上がった。

 しかし、「差別」というのは、「した側」が問題なのであって、「された側」の問題をあげつらうのはおかしな話である。

 どんな過去があっても差別は受けてはならないし、驚いたらその場で言い返せないこともあるだろう。なにより外国に恥をさらすことが問題なのではなく、さらすような恥が起こることが問題なのである。

 「告発の行方」という映画をご存じだろうか。

 1988年にジョディ・フォスター主演で公開されたアメリカ映画で、彼女はアカデミー賞とゴールデングローブ賞の主演女優賞を取っている。

 この映画でジョディ・フォスターの演じる主人公が、バーで男たちにレイプされる。しかし、当時彼女が酒に酔い、マリファナを吸い、挑発的な態度だったことが問題視されてしまう。女性検事は、加害者たちが合意の上の関係と主張し、また主人公に有利な証拠がないために、レイプとして立件しないで、「過失傷害罪」とする。主人公は深く傷つき、女性検事もまたその姿を見て、「主人公に落ち度があっても関係ない。レイプはレイプである」と再捜査を行うのだ。

 つまり、女性差別であれ、レイプであれ、問題はすべて「する側」にあるのだ。

● 政治家は女性差別発言が多い?

 また、文芸評論家・斎藤美奈子の『物は言いよう』(2004年、平凡社)が、さまざまな女性差別の事例を取り上げている。

 本書は、「性や性別にまつわるあきらかにおかしな言動」「おかしいかもしれない言動」をとりあげている。目次を見てみよう。

第1章 「女の涙には勝てん」問題

第2章 「女は家にいろ」問題

第3章 「女は女らしく」問題

第4章 「男はスケベだ」問題

第5章 「女だからこそ」問題

第6章 「女に政治はわからん」問題

第7章 「女は黙っとれ」問題

 これらに基づいた発言は、女性差別につながるのである。

 そして政治家というのは残念ながら、女性差別発言が多いのだ。

「文明がもたらした最も悪しき有害なものはババアなんだそうだ」(石原慎太郎都知事・2001年)

「集団レイプする人はまだ元気があるからいい。正常に近い」(太田誠一衆院議員・2003年)

「15-50歳の女性の数は決まっている。産む機械、装置の数は決まっているから、あとは一人頭で頑張ってもらうしかない」(柳澤伯夫厚労相・2007年)

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Profile
深澤真紀
深澤真紀(ふかさわ・まき)
コラムニスト・淑徳大学客員教授
1967年、東京生まれ。早稲田大学第二文学部社会専修卒業。
卒業後、いくつかの出版社で編集者をつとめ、1998年、企画会社タクト・プランニングを設立、代表取締役に。
日経ビジネスオンラインで2006年に「草食男子」や「肉食女子」を命名、「草食男子」は2009年流行語大賞トップテンを受賞し、国内外で話題になる。
『女はオキテでできている―平成女図鑑』(春秋社)、『輝かないがんばらない話を聞かないー働くオンナの処世術』、津村記久子との対談集『ダメをみがく――”女子”の呪いを解く方法』(紀伊國屋書店)、『日本の女は、100年たっても面白い。』(ベストセラーズ)など著書も多数。
公式サイト:http://www.tact-planning.com
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