あなたはよく眠れてますか? 多忙でストレスにさらされがちな働き女子の中には、「寝つきが悪い」「熟眠感が得られない」など、睡眠のことで悩んでいる人が数多くいます。一方、睡眠専門医の白濱龍太郎先生によると、眠りは「夕方」以降の体温調節で決まるのだとか! そこで、このコラムでは、悩める多忙な働き女子でも無理なく始められる、快眠をうながす夕方習慣の一部を白濱先生に紹介してもらいます。
業務のコアタイムが仮に17~18時までとすると、ランチや昼寝などの休憩時間はあるものの、勤務時間中はずっと脳が覚醒しているような状態にあります。

また、最近はひとり当たりの業務量が増え、「ブラック企業」という言葉が流行するほど、一部では残業や長時間労働も深刻化しています。
そのような勤務環境だと、今度は覚醒スイッチをオフにすることが徐々に難しくなってきます。過剰な緊張感のもと、「失敗が許されない仕事だから」と長時間の覚醒状態が続けば、帰宅後になかなか脳が睡眠モードに入らないとしても不思議ではありません。私のクリニックに来る患者さんのなかでも、「起きられない」だけでなく、「眠れない」という入眠障害を訴える方が少なくありません。
そして仕事に対して真面目で誠実な人ほど、この傾向は強いように感じます。
注意しなければならないのは、睡眠は覚醒の反対だから、睡眠モードとは「何もせずぼーっとすること」というふうに考えてしまうことです。
そうではなく、実践したいのは覚醒スイッチをオフにするというより、「睡眠モードをオンにする」という考え方です。
仕事のことを考えないようにしようと思っても、先述の通り真面目なビジネスパーソンはなかなか頭を空っぽにすることはできません。
それよりも、コアタイムを過ぎてからは、いくつかの習慣を心がけることで、脳がリラックスできるように働きかけることが大切です。スムーズな入眠は、夕方以降のアクションに左右されるといっても過言ではありません。
アクションのひとつとして、体温コントロールの観点から肩甲骨のまわりを動かすなど、軽い運動で体温を上げておくことは前回お伝えした通り。
それ以外にも、さらに簡単に行える実践法としておすすめしているのが、チョコレートを少し摂取することです。
チョコレートの原料であるカカオは、抗不安や抗ストレスの作用があるとされるGABA(γ-アミノ酪酸)を多く含んでいます。つまりチョコレートを口にすることで、リラックス効果を手軽に得ることができるのです。
もちろん、チョコレートを食べるだけで、絶大なリラックス効果を期待するのは非現実的です。肝心なのは、そういうアクションを習慣化して、少しずつ「睡眠モードをオンにする」ということ。
チョコレートはあくまでそのきっかけです。肩甲骨まわりの運動などとともに、覚醒状態から睡眠モードへの一日の切り替えの契機として取り入れることをおすすめします。