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深澤真紀:ベビーシッター事件を考える

2014年4月2日

さまざまな人がさまざまな形で子育てに関われる社会が理想

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 先日起きた痛ましいベビーシッター事件について、いろいろな意見が出ている。

 この事件は、横浜市に住み、2歳児と8カ月児を育てる20代のシングルマザーが、ベビーシッターのマッチングサイトで連絡した男性シッターに、泊まりがけで二人を預けたところ連絡が取れなくなり、警察に通報したところシッターが埼玉県で保育室として使っていたマンションで2歳児が亡くなっていたというものだ(8カ月児は無事保護された)。

個人シッターに頼らざるを得ない現状

 この事件については、病児保育を手がけるNPO法人フローレス代表理事の駒崎弘樹氏による「ベビーシッター宅での2歳児死亡事件についての解説」を是非読んで欲しい。

 内容を紹介すると、企業が手がけるベビーシッターの料金相場は1時間で1600円~2300円が相場だが、個人シッターは1時間で1000円~1500円程度と安いため、これらを必要とする人も多く、マッチングサイトが個人シッターと利用希望者を結びつけている。しかしマッチングサイトでは、シッターの管理は行わない。

 また公的保育では、今回のような泊まりがけ保育であるショートステイはほとんど行われていないために、個人シッターに頼らざるを得ない。

 そして保育所などには補助金が投入されているのに、ベビーシッターには投入されていないため企業シッターの値段が高くなってしまい、そのために安い個人シッターを使わざるを得ない。

 そもそも日本では「子供と子育てに対する社会的投資をする額が、圧倒的に少ない」ため、「ルールに基づき、ベビーシッター利用者に補助をする」べきで、「知らない人に預けるなんてひどい母親だ」という母親叩きや「無資格でもできるベビーシッターなんてんようできない」というシッター叩きではない、前向きな取組をすべきだと、駒崎氏は書いておいて、まったく同感である。

 また、障害のある子供を持つ自民党の野田聖子総務会長は、副会長を務める「児童の養護と未来を考える議員同盟」で、「私も検索し、わらにもすがる気持ちでお願いしたことがある」と語った。

 実際には利用には至らなかったが、「夜遅くとか、障害を持っている場合には、既存のベビーシッターでは応じてもらえない。母親を責める声があるとしたらどうだろうか」と、働く母親の窮状を訴えている。

 ぜひ政府で、さまざまな形の保育について考えて欲しい。

 そしてもうひとつ忘れていけない点は、これはベビーシッターの問題というだけではなく、悪質な犯罪であるということだ。

 この母親は以前にもこのシッターに子供を預けたところ、子供にあざができていたためトラブルになり、その後はこのシッターに預けないようにしていた。

 ところがこのシッターは別名を使い、さらに別の男性を子供の迎えにやることで、自分の身元を母親から隠したのだ。

 このシッターが最初から、この母子に対してある種の悪意や執着の気持ちなどを持っていたからということが考えられるし、そうであれば母親がこの犯罪を防ぐことは難しかったと思う。

マッチングサイト閉鎖に再開を求める声も

 マッチングサイトの実情については、子供の問題に詳しいライター渋井哲也氏による「ベビーシッター「マッチングサイト」の実情は? なぜ必要とされるのか」も読んで欲しい。

 この記事では、マッチングサイトの管理人に取材しており、シッターも利用者も会員登録さえすればよく、登録料は無料、シッターは資格の有無は問われず、匿名でも登録できた。管理人がサイトを開いた理由は、自身の父親としての子育て経験からだった。

 そしてこの母親が住んでいた横浜市は、2013年には待機児童ゼロだったのだが、また申込者が増えて3000人近くになっている。

 横浜市には多様なサービスがあり、「横浜 緊急 保育」と検索すれば、「24時間型緊急一時サービス」が見つけられるが、実際に検索されるのは「ベビーシッター」「個人」「マッチング」などのため、見つけられないのだという。

 マッチングサイトではトラブルがあるために、それなりの対応もし、保険の導入なども考えていたというが、この事件があったために閉鎖、再開を求める声もあるが現状では難しいそうだ。

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Profile
深澤真紀
深澤真紀(ふかさわ・まき)
コラムニスト・淑徳大学客員教授
1967年、東京生まれ。早稲田大学第二文学部社会専修卒業。
卒業後、いくつかの出版社で編集者をつとめ、1998年、企画会社タクト・プランニングを設立、代表取締役に。
日経ビジネスオンラインで2006年に「草食男子」や「肉食女子」を命名、「草食男子」は2009年流行語大賞トップテンを受賞し、国内外で話題になる。
『女はオキテでできている―平成女図鑑』(春秋社)、『輝かないがんばらない話を聞かないー働くオンナの処世術』、津村記久子との対談集『ダメをみがく――”女子”の呪いを解く方法』(紀伊國屋書店)、『日本の女は、100年たっても面白い。』(ベストセラーズ)など著書も多数。
公式サイト:http://www.tact-planning.com
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