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認知症の母が愛しくて―姫野カオルコさん

2014年2月19日

介護生活から見えた母の新たな一面

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母親の女性性などについて語った前編に続き、

小説家の姫野カオルコさんと、この連載の筆者である大川内麻里による、母娘関係トークをお届けします。

後編では、姫野さんの介護の実体験や、WOL読者へのアドバイスを語ってもらいました。

親といることがつらい女性や、家の事情を知らない周囲からの言葉に傷ついたあなたへ。

姫野さんが送る心の処方箋です。

●姫野カオルコ・姫野嘉兵衛(ひめの・かおるこ)
小説家。
1958年、滋賀県出身。独特の筆致と幅広い作風で、特異な位置に立つ。読者層は男女同数。
1997年『受難』が第117回直木賞候補、2002年『よるねこ』収録の「探偵物語」が推理作家協会の『ザ.ベストミステリーズ』、2004年『ツ,イ,ラ,ク』が 第130回直木賞候補、2006年『ハルカ・エイティ』が第134回直木賞候補、2010年『リアル・シンデレラ』が第143回直木賞候補となったのち、2014年『昭和の犬』で第150回直木賞受賞。5回目のノミネートにして受賞となった。受賞会見には愛用のジャージ姿で登場し、世間の話題をさらった。
公式WEBサイト:http://himenoshiki.com/

■「通い介護」で、東京と滋賀を往復した月日

大川内:姫野さんはご両親が高齢になられてからのお子さんで、若いころから、老いたご両親の介護で、東京からご実家の滋賀へと通われる生活を続けてこられたそうですね。

 先にお父さまを見送られ、いったん通い介護からは離れた生活となり、しばらく落ち着いていたものの、やがて認知症を、のちにパーキンソン病を発症したお母さまの通い介護生活に、再び入られた。

 そんななか、ご自身も体調を崩されてもいたんですよね。

姫 野:介護といっても、たいした苦労はしていないんです。父のときは少し大変だったけれど、その後地方自治の介護政策も進みましたしね。

大川内:実際のお世話よりも、介護を通して思い起こす、ご両親への思いがつらかったとか?

姫 野:座薬を入れるとか身体を拭くとか、そんなことはすれば終わること。意外とそんなにつらくはないものでした。

 でも父は、病気になっても母に感謝することはなかった。……してたのかなぁ、感謝。

 でもかわいそうだよね。だって、父は目も見えないようになっていたし、そうなってくると感謝されなくても、ヒューマニズムの見地から、相手はこんなに弱った人なんだからと思うから、腹も立たなくなるんですよね。

■認知症で、父との嫌だった結婚生活を忘れた母が、一番好きでした

大川内:お父さまの介護とお母さまの介護、どちらが心情的におつらかったですか?

姫 野:おなじですね。

 でも母は認知症を発症してからはね、なんか楽しそうだったの。

 そのあとパーキンソン病を発症してからは、自然なかんじですーっと電池が切れていくように。動きたいのに動けない、じゃなくて、安らかに眠っているかんじ。つらそうじゃなかったのね。それは幸いだったかなと思います。

 そのパーキンソン病になる前は、すごく楽しそうでした。

大川内:『昭和の犬』でも、イクの母が晩年病気をして、一時期とても明るくなっていましたよね。姫野さんのお母さまにも、そういった時期があったのでしょうか?

姫 野:ありました。朗らかでね、すごく明るくなったんです。嫌だった結婚生活のことを、全部忘れちゃったみたいで。

 グループホームに入っていたんですが、四角いいわゆる施設というかんじの建物ではなく、日本家屋を改造したようなところでね。板の間に自分のピアノを運び入れてもらって、みんなが歌いたい歌、簡単な童謡なんかを弾いてあげていた。それで母はみんなの人気者になって。

 すごく楽しそうだったな。私、そこにいた母が、一番好きでした。

大川内: 『昭和の犬』では、イクにもその時期、男性との縁がわずかにありましたよね。それもすごくわかるなぁと。

姫 野:イクに余裕ができてってこと?

大川内:親との関係がうまくいっていない人って、生きづらいですよね。その生きづらさがふっと緩んだところだったのではないかと。

姫 野:そうかもしれない。父が亡くなったときも、私がいい作品が書けたのもそのころだし。

大川内:また『風のささやき~介護する人への13の話』にもありましたが、介護をしている人が、家の事情に対し、人がかけてくれる「大変ね」の一言。そして、それ以上踏み込まない。これが楽だと。

姫 野:うん、ほっとする言葉だね。私も実際言われてほっとしましたしね。

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Profile
大川内 麻里
大川内 麻里(おおかわうち・まり)
1977年、福岡県生まれ。著述家・編集者。自身の被虐待や母娘関係の問題、不登校や高校中退(大検を取得し進学。心理学専攻)、離婚、うつ病などの実体験をもとに活動。
執筆、講演や心理相談のほか、出版やイベントのプロデュースも手掛ける。
naked heart代表。親友である元アイドルのチバレイこと千葉麗子さんとともに、自身のうつ病体験を赤裸々に綴った『チバレイ&マリの壮絶うつトーク~うつ女子ほど、仕事も恋もうまくいく!~』も話題を呼び、多くの女性たちから共感の声が寄せられた。著書に『這い上がるヒント~諦めなかったお笑い芸人30組の生き様』(東邦出版)、『うまくいかない自分から抜け出す方法』(かんき出版)ほか。『相方~ビートたけしとの幸福/ビートきよし 著』(東邦出版)の構成も手掛けた。
*公式サイト:http://naked-heart.jp/ *Twitter&Facebook:OkawauchiMari
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