• ビジネス
  • xTECH
  • クロストレンド
  • 医療
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版
  • 日経BP

夜WOL小説・すあしの恋―第16話

2014年1月27日

石坂さんは二股をかけていたの?

このエントリーをはてなブックマークに追加
Facebookでシェア

私は、東京に住むアラサーOLの佐藤早紀。恋はすっかりご無沙汰だった私にも、もしかしてモテ期が到来したかも!? 私の恋物語を描く『Web小説・すあしの恋』は、毎日18時に更新です!

(前話はこちら

 出口へと続く階段の踊り場で、奈津はAラインのショートコートの前を合わせながら尋ねた。

 「で、どうするの?」

 早紀はピーコートのボタンを止めながら答えた。

 「どうするのって言われても、もう、なにを信じていいのか」

 奈津は、まだそれほど寒くはないのに、マフラーを見た目のかわいい「ぐるぐる巻き」にすると、地上を目指して上り始めた。

 「なんで?」

 早紀は追いつき、言った。

 「ウソつかれたんだよ! 彼女がいるなんて、ひと言も……」

 奈津は地上に出ると、水道橋方面へと歩き出した。

 「いる、じゃなくて、いた、でしょ? 石坂仁のメールにそう書いてあったって、さっき言ってたじゃん」

 「本当かどうか、わかんないよ」

 白山通りでは、さまざまな飲食店が、派手な照明を輝かせていた。

 早紀には、古本屋や専門書店の古めかしい看板の方が気になった。

 「本当みたいだよ」

 奈津の言葉で、早紀は彼女の横顔へと視線を移した。

 「どうしてわかるの?」

 「うちのお偉いさんたち、業界のパーティーとか他社の新作発表会とかで、何年も前から石坂仁に接触してたんだって。その関係で、秘書課に務める高橋麗子と出会ったらしいの」

 奈津は、前を向いたまま、語り続けた。

 「付き合い始めたのは2年前。その間も、彼女がサキに言ったとおり、彼、けっこう遊んでたみたい。逆に、2年も交際が続いたのは、高橋麗子が初めだって」

 「お昼に話したばっかりなのに、もうそこまで調べたの?」

 「これくらいチョロいもんよ。石坂仁がメールで書いてきたみたいに、最初のサキとのデートの次の日に高橋麗子と別れて、それから皇居ランに誘ったっていうのが本当なら、二股かけたことにはならないでしょ?」

 奈津は目だけ早紀に向けて続けた。

 「合鍵を返してもらわなかったのは、百戦錬磨の石坂仁にしては、かなりツメが甘かったけどね」

 息はまだ白くならなかった。

 けれど、11月の終わりの夜気は、頬を冷たく刺した。

 「だったら、最初に私を食事に誘ったときも、高橋さんっていう立派なカノジョがいたわけでしょ? なのに、そんなこと一言も……」

 「付き合ってる人はいないんですかって、聞いた?」

 「そんなこと、誘われたデートの最中に、わざわざ聞いたりしないよ」

 「だから彼は答えなかった。ウソをつくのと言わないのは別だよ」

 石坂と同じようなことを言ってるな、と早紀は思った。

この記事をSNSにシェアする

このエントリーをはてなブックマークに追加
Facebookでシェア

Facebookコメント

※Facebookのコメント機能は、Facebookのソーシャルプラグイン機能を用いて実現してい ます。本機能、およびコメントの内容について、日経ウーマンオンラインは一切の責任を負い ません(日経ウーマンオンラインからのコメントを除く)。また、コメントを非表示にしたり、機能を停止することがあります。

Profile
佐宮圭(さみや・けい)
作家。1964年兵庫生まれ。早稲田大学第一文学部人文学科卒業。アパレルメーカーの営業、花屋の社員を経て、1993年3月、フリーランスの編集兼ライターとなる。子ども向けの科学雑誌や『文藝春秋』『週刊朝日』などで活躍。2010年、『さわり - 女として愛に破れ、子らを捨て、男として運命を組み伏せた天才琵琶師「鶴田錦史」その数奇な人生』で第17回小学館ノンフィクション大賞優秀賞を受賞。
関連キーワードから記事を探す
エンタメ恋愛・結婚人間関係の悩み

Topics

CloseUp

WOL Selection

PAGE TOP

ログインしていません。

  • ログイン
  • 無料会員登録

Pickup

Focus

最新刊のご案内

仕事を楽しむ 暮らしを楽しむ日経ウーマン 12月号

もっと健康に、もっと美しく日経ヘルス 12月号

働くママ&パパに役立つウェブマガジン日経DUAL 11月号

一生お金に困らない!お金がどんどん増える本 ミニサイズ新装版

まんがで分かる!やせる食べ方

日経ウーマンオンライン おすすめの本

日経ウーマンオンライン

広告をスキップ