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夜WOL小説・すあしの恋―第13話

2014年1月22日

心躍る皇居ランデート!

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私は、東京に住むアラサーOLの佐藤早紀。恋はすっかりご無沙汰だった私にも、もしかしてモテ期が到来したかも!? 私の恋物語を描く『Web小説・すあしの恋』は、毎日18時に更新です!

(前話はこちら

 皇居の1周5キロのランニングコースには、1都道2府43県の県花と他の絵の2枚を合わせた計49枚の石盤が、100メートルごと(ただし「竹橋」にはない)に埋めこまれている。

 大半の石盤には、0地点である宮崎県からの距離を示すプレートがそえられている。

 この石盤とプレートで、ランナーたちは100メートルのラップの変化を知る。

 早紀がスタート地点に選んでいる半蔵門には、和歌山県の梅の花の石盤と「3.5km」のプレートがあった。

 走り出すとすぐ、視界が開ける。

 はるか前方に霞が関のビル群のきらびやかな夜景が現れ、その足もとの桜田門まで、1キロほどのなだらかな下りの直線が続く。

 お堀の水面に揺れる光のブーケを楽しみながら、この坂を駆け降りるのが、早紀は好きだった。

 「せっかくだから、ゲームをしないか?」

 スタートしてすぐ、かたわらを走る石坂が言った。

 「お互いのことをもっとよく知るために、好きなものと嫌いなものを交互に言い合うんだ!」

 ランニングの基本は、息が上がらないペースで走ること。その目安として、おしゃべりしながら走るランナーは多い。

 石坂はかなり走りこんでいるらしく、1キロ6分、1周30分というペースで会話を楽しもうとしていた。

 ふたりは、ノロノロと走る初級者ランナーたちを追い越しながら、好きなものと嫌いなものを交互に言い始めた。

 「そばが好きです」

 「僕はパスタが好きだ」

 半蔵門から500メートルほどの下りを軽快に走り、渋谷へと続く国道246号線と内堀通りがぶつかる三宅坂を過ぎた。

 国会前まで来ると、霞ヶ関の高層ビル群が目前に迫る。

 「争いごとは嫌い」

 「僕も負けるのは絶対に嫌だ」

 お堀にかかった橋を渡り、桜田門をくぐると、わずかにショートカットできる。

 多くのランナーたちは、景色の変化も楽しめるそちらのコースを選ぶ。

 しかし、早紀は、桜田門を通り過ぎ、200メートル余り先の祝田橋を渡る正式なコースを好んだ。

 そちらを通らないと、宮崎県の手前にある大分県の石盤を飛ばすことになるからだ。

 石坂は、桜田門で減速せず、そのまま祝田橋へ向かった。

 早紀は〈やった!〉と心のなかで叫んだ。

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Profile
佐宮圭(さみや・けい)
作家。1964年兵庫生まれ。早稲田大学第一文学部人文学科卒業。アパレルメーカーの営業、花屋の社員を経て、1993年3月、フリーランスの編集兼ライターとなる。子ども向けの科学雑誌や『文藝春秋』『週刊朝日』などで活躍。2010年、『さわり - 女として愛に破れ、子らを捨て、男として運命を組み伏せた天才琵琶師「鶴田錦史」その数奇な人生』で第17回小学館ノンフィクション大賞優秀賞を受賞。
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