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夜WOL小説・すあしの恋―第4話

2014年1月9日

ランチタイムに王子さま談義…!

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私は佐藤早紀。東京に住むアラサーOLだけど、恋はご無沙汰気味。そんな私の恋物語を描く『Web小説・すあしの恋』は、毎日18時に更新します。どうぞお楽しみに!

(前話はこちら

 「ちょっと待って。それ、王子さまでもユーレイでもなくって、ただの変態ストーカー野郎じゃないの!」

 早紀のかたわらで、涼介がカレーを吹き出した。

 「そんな言い方、ちょっとひどすぎるんじゃない」

 「だってあんた、夜にサングラスかけて、ランニングするのにマスクしてるなんて、よっぽど顔を見られたくないってことでしょ」

 涼介はカレーライスのプレートを横に押しやると、カバンからスマホを出して、何か検索し始めた。

 「ストーカーなら、どうしてあんなに目立つメガネとマスクしてるのよ」

 「だから変態なの。確信犯よ。ストーキングがバレても、顔さえわからなければかまわないって思ってるんだから、逆に、かなりヤバいってことよ。こうなったら一刻も早くケーサツに……」

 「ちょっと待ってよ。まだ何もされてないのに」と言いかけた早紀の目の前に、涼介がスマートフォンを差し出した。

 「あ、これ。このマスク!」

 涼介は、スマホの画面を奈津の方に向けながら言った。

 「花粉症対策用のランニング専用マスク。外国製で1セット5000円。ネットで買える。花粉はほぼ完璧に除去できて、ランニングしても呼吸がほとんど苦しくならないって話だ。俺もひどい花粉症だから、来年の春に試してみたいんだ」

 「ランニングどころか、散歩もしないくせに」という奈津の悪態は聞き流し、早紀は涼介に尋ねた。

 「じゃあ、あのゴーグルみたいなサングラスも?」

 「たぶん、花粉症対策だろうな」

 奈津が不服そうに言った。

 「もう10月半ばだよ。こんな季節に飛ぶ花粉なんて、あったっけ?」

 「1年じゅう、なにかしらのアレルゲンが飛んでるよ」と言うと、涼介はカレーライスの残ったプレートを持ち、立ち上がった。

 「そうだ、サキ。今度、本、貸してやるよ。そのユーレイ男の走り方に興味があるなら、きっと、おもしろく読めるはずだから」

 それだけ言うと、いつものようにのっそりとした歩みで立ち去った。

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Profile
佐宮圭(さみや・けい)
作家。1964年兵庫生まれ。早稲田大学第一文学部人文学科卒業。アパレルメーカーの営業、花屋の社員を経て、1993年3月、フリーランスの編集兼ライターとなる。子ども向けの科学雑誌や『文藝春秋』『週刊朝日』などで活躍。2010年、『さわり - 女として愛に破れ、子らを捨て、男として運命を組み伏せた天才琵琶師「鶴田錦史」その数奇な人生』で第17回小学館ノンフィクション大賞優秀賞を受賞。
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