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母娘関係の苦悩は言語化して―内田春菊さん

2013年12月25日

壮絶な母娘関係を乗り越えて―自身の体験を対談で振り返る(後編)

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前編では、内田春菊さんと本連載の筆者である大川内麻里の性的虐待の体験、

また娘の性的な成長が、母にとっては脅威であり、

母親自身の女性性への嫌悪や執着が母娘問題の本質ではないかというお話をご紹介しました。

今回は、続きのお話です。

●内田春菊(うちだ・しゅんぎく)
漫画家、作家、女優。
1959年8月7日生まれ。長崎県出身。1984年、四コママンガで漫画家デビュー。以来幅広いファン層に支持される。
93年、初めての小説『ファザーファッカー』を出版、直木賞候補となる。94年『私たちは繁殖している』『ファザーファッカー』の2作品で第4回Bunkamuraドゥマゴ文学賞受賞。
ヴォーカリスト兼ダンサーとしては、上田現のツアーメンバーとして参加経験あり。女優としても、国内にとどまらず海外でも評価を得ている。
公式ブログ:http://ameblo.jp/shinshungicu/

■母自身が人生で果たせなかった思い

大川内:前編の最後に春菊さんが母親自身の人生で叶わなかったことが母娘関係に色濃く影響しているのではというお話をしてくださいました。

 前編に出た、女性性への嫌悪というのも、セクシャルな問題もですが、人生で「女だからできなかった」という未完の思いからくることもあるように思います。女に生まれて損した! みたいな。

内 田:そんなこと、子どもには何の関係もないのにね。

 うちの子どもにも漫画の道に進もうとしている子がいて、「あとを継ぐのね」なんて言われるのが嫌なんですよ(笑)。違うからっていう。

大川内:そうなんですか! 春菊さんのお子さんは、先ほどの接しかたをお聞きすると、親子間で一人格同士として適切な距離感が保たれているように思うので、お子さんも自然と漫画の道を憧れられたのではという気がします。楽しみですね。

内 田:かわいい絵でホラー描いたりしてるから、私とはまったく違うのが好きなんだけれど(笑)。

大川内:娘に夢を託すというか、もっと不健全なかたち。自分の代理に娘に人生を生きさせて、娘の人生を我がもの顔で奪っていくというか。娘の人生に侵食していく母たちがいるみたいですね。

 私の場合は、いま振り返ると幼稚園の卒園文集にそのいびつな母からの支配がすでに表れていました。

 というのは、卒園文集の「将来の夢」の欄に「おはなやさん」「けーきやさん」などと子どもらしい愛らしい夢が並ぶなか、私だけ「あなうんさー」と書いたんです。

 でも私、アナウンサーというのが、なにをする人なのか、どんな仕事なのか、知らずにそこに書いているんですよ。

 私が知っていたのは、「あなうんさー」というのが、お母さんがなりたくてなれなかった仕事で、私になってほしい、私がこの欄にそう書くと、お母さんが喜ぶ、という、それだけだったんです。異様だったと思いますよ。

内 田:でも仮にそれでなれていたとしても「お母さんのおかげ」という立ち位置でないと、親は喜ばないですよね。

 日本だと、そういう子どもが多いですよね、大成功しているのに「親のおかげ」と。親子の上下関係がきっちりしている。

 誰だったか、世界的な偉人の父親で「神と彼のあいだの橋渡しを偶然しただけだ」みたいなことを言っている人がいて、すごいな、こんなことを言える男性がいるんだって感心したんですけれど。

大川内:そういった親の未完の思いを子どもにみたいなところ、春菊さんのお母さんはいかがでしたか?

内 田:母は女子だから教育をきちんと受けさせてもらえなかったということに遺恨があって、だから私を大学に行かせたがっていました。

 私は成績はたしかによかったはよかったですが、田舎の一番なんてたかが知れているじゃないですか。なのにこれはいけると思っちゃったんでしょうね。

 それから、母も、それに実父も、社交ダンスの教師をやっていたんですよ。私が生まれる前、長崎では売春宿がダンスホールになっていっていると聞いて、他県から職を求めてやってきたのが、実父と実母のふたりでした。でもやがてホステスと黒服になっちゃうんですけれど。

 そんな母の影響か、私も子どものころからダンスや歌が好きでした。でも興味を持たないように、母と養父から操作されていましたね。

大川内:具体的には?

内 田:養父にとって、すべての娯楽は悪でしたから、彼が母に言うんですよね。「おまえは社交ダンスなんて浮ついたものをやっていたんだ。子どもに教えてはいけない」って。

 養父にそう言われた母は、学校の創作ダンスなんかを見ても、私に「遠くから見ててもぴょんぴょんしちゃってて、あなただってすぐわかったわ」なんて半笑いで茶化したように言ってくる。悲しかったですね。

 でもその後、大人になってから受ける評価を鑑みても、私、決してダンスが下手ではなかったはずなんです。

 だから、母も内心では、私のダンスにはそれなりに芽があるなとか、自分の血を受け継いでるなとか思っていたはずなんですよ。でも養父の顔色をうかがって、そんなふうに言っていた。

 子どもがもともと上手なことをストレートに褒めてくれる親ではなく、変な方向に行かれたら困るので、シャットアウトして、勉強勉強勉強……。

 いい成績を取れば褒められるかというとそうではなく、褒めるとつけあがる、そんなことで満足するなと怒られ、成績が落ちれば、もちろんもっと怒られる。

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Profile
大川内 麻里
大川内 麻里(おおかわうち・まり)
1977年、福岡県生まれ。著述家・編集者。自身の被虐待や母娘関係の問題、不登校や高校中退(大検を取得し進学。心理学専攻)、離婚、うつ病などの実体験をもとに活動。
執筆、講演や心理相談のほか、出版やイベントのプロデュースも手掛ける。
naked heart代表。親友である元アイドルのチバレイこと千葉麗子さんとともに、自身のうつ病体験を赤裸々に綴った『チバレイ&マリの壮絶うつトーク~うつ女子ほど、仕事も恋もうまくいく!~』も話題を呼び、多くの女性たちから共感の声が寄せられた。著書に『這い上がるヒント~諦めなかったお笑い芸人30組の生き様』(東邦出版)、『うまくいかない自分から抜け出す方法』(かんき出版)ほか。『相方~ビートたけしとの幸福/ビートきよし 著』(東邦出版)の構成も手掛けた。
*公式サイト:http://naked-heart.jp/ *Twitter&Facebook:OkawauchiMari
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