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母は隠れた支配者だった―内田春菊さん

2013年12月18日

壮絶な母娘関係を乗り越えて―自身の体験を対談で振り返る(前編)

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みなさん、こんにちは。

本連載第二弾は、漫画家・作家であり、女優、ミュージシャン、

最近は映像作品の監督も手掛け、多彩な活躍を見せる内田春菊さんと、

筆者である大川内麻里との「母娘関係」トークをお届けします。

 内田春菊さんは、10代のころに育ての父からの性的虐待に遭いました。養父は内田さんの実母の恋人でしたが、ほかに家庭のある男性。実母と実父は内田さんが6歳のときに離婚しています。

 性的虐待に対し、母は養父を制することはなく、むしろ養父から性交を強要される儀式をセッティングしていたのは母である様子だったといいます。

 また筆者の大川内麻里も、実父、実母から、内田さんと似たような構造で性的虐待を受けています。

 内田さんは、27歳のときから、27年ほど、お母さんとは連絡を取っていません。

 いまは3度の結婚・離婚を経て、4人のお子さんを育てられています。

 そんなふたりが、自身の母娘関係を振り返って思うこととは?

 そして母娘関係が、いまの子どもとの関係、パートナーとの関係、恋愛や家族といったものに与えた影響とは?

●内田春菊(うちだ・しゅんぎく)
漫画家、作家、女優。
1959年8月7日生まれ。長崎県出身。1984年、四コママンガで漫画家デビュー。以来幅広いファン層に支持される。
93年、初めての小説『ファザーファッカー』を出版、直木賞候補となる。94年『私たちは繁殖している』『ファザーファッカー』の2作品で第4回Bunkamuraドゥマゴ文学賞受賞。
ヴォーカリスト兼ダンサーとしては、上田現のツアーメンバーとして参加経験あり。女優としても、国内にとどまらず海外でも評価を得ている。
公式ブログ:http://ameblo.jp/shinshungicu/

■男の歓心を買うため、生贄に差し出された娘

大川内:お母さまと最後にご連絡を取られたときというのは?

内 田:17歳のときに家出に成功して以来、実家には帰っていません。ですが、母とは連絡を取って、養父とは別れて、私といっしょに暮らそうと持ちかけていました。漫画家としてお金も稼げるようになりましたしね。

 でも母は「別れないけれど、お金だけ送ってこい」と。それで一度はガチャンと電話を切りました。

大川内:自分の娘に性交を強要するような男とは別れて、娘を取ると思いきや、彼女は男を取った、と。

内 田:取りましたね。そのあとに養父の奥さんが亡くなって、母は後妻にしてもらえると思っていたらしてもらえなかった。そこで、かわいそうな女と言わんばかりの体(てい)で上京してきて、養ってくれと。

 私の記憶のなかの母は働き者の印象だったのですが、そんなことはなくて。

 自分は楽をしてお金ちょうだい、いい思いをさせてちょうだいだったので、みんなで働いて助け合って生きていきたかったんだよ? と言うと、なんであんたが稼いでるのに働かなきゃならないの、とくる。

 じゃあ、私が漫画で稼いだお金だから、むかしさんざん漫画家になるのを嫌がって反対したことだけでも謝ってくれと言ったら、謝らないけれど、金はくれという話だったので、それから会ってないですね。

 精神分析学者の岸田秀さんからは「男の歓心を買うために、親に提供された子ども」だと言われました。

大川内:生贄に差し出されたんですね。

内 田:もともと勉強はできたので、性的虐待がはじまる前には、将来いい大学に行って、親のプライドを稼ぎの面で満足させることを求められていました。

 それが、小学校高学年くらいになると、養父が私のことを妙に色気のある子どもだと言って「色気づいている」「不良の芽がある」と言いながら、私の身体を触りはじめたんです。

 つまりは「(“色気づいている”義理の娘に)誘惑されているのは自分だ」ということだったんでしょうね。精神科医の斎藤学さんも言っていましたが。

■母は隠れた支配者「イネイブラー」だったのか?

大川内:まるで自分が被害者なんですね。

 斎藤学先生とのご対談のなかで、ご自身のお母さまのことを「共依存的な母」とおっしゃっていましたよね。

 共依存とは、依存する人とされる人が、その関係性を通して互いに支配、依存し合うこと。

 たとえばアルコール依存症の夫がいて、その面倒を見ている妻がいるとします。妻は表面的にはアルコールをやめさせようとしているんだけれど、夫の面倒を見ることで、実質的には飲酒を促進しているという場合があります。

 その一見、問題行動を起こす人の面倒を見る側。依存されていると見える側なんだけれど、実は負の行動を引き起こすように仕向けている側というのが「イネイブラー」と呼ばれますよね。

内 田:わかりにくい支配者であるということですね。

大川内:性的虐待も、イネイブラーとして彼女が仕向けていたのではとも思ったのですが。

内 田:おもしろい考え方ですね。それはいくらなんでも自分の男だから、彼女は嫌な気持ちだったのではと、私は思いたいところなんですが。

 ただ養父は、私に不良の芽があると言いつつ、身体を触ってきていたころから「処女だけ奪って嫁に出す」と言っていて。私が「処女」と言う言葉を辞書で調べなきゃいけないような年頃にですよ。

 そんなとき、母は「あらまぁそんなこと言っちゃって」と流してはいたけれど、私が「触られて嫌だ」と訴えても、養父を制止はしなかったからですね。

大川内:それがいよいよ中学生のときに、恋人である同級生の子を妊娠したことをきっかけに、養父から性交を強要されるまでになった。そして、それを止めず、むしろセッティングすらしていたのが母だった。

内 田:両親ともに人生の大失敗だ、堕胎は当然と思っているんですよね。わかったときに、すでに妊娠6カ月でしたが、それで「医者も嫌がる月になっているから、俺がつついておろす」と言い出したんです。

 「つついておろす」だなんてことを大義名分に、性交を強要したんですよ。だから、私は自伝的小説『ファッザーファッカー』で、養父のペニスが小さかったという記述を逃さなかったんです。

 そこが男として一番恥をかかせた部分だろうけれど、小さいことをバラすというわけではなく、そんなことをもっともらしく口実づけてるから書かれるんですよ。

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Profile
大川内 麻里
大川内 麻里(おおかわうち・まり)
1977年、福岡県生まれ。著述家・編集者。自身の被虐待や母娘関係の問題、不登校や高校中退(大検を取得し進学。心理学専攻)、離婚、うつ病などの実体験をもとに活動。
執筆、講演や心理相談のほか、出版やイベントのプロデュースも手掛ける。
naked heart代表。親友である元アイドルのチバレイこと千葉麗子さんとともに、自身のうつ病体験を赤裸々に綴った『チバレイ&マリの壮絶うつトーク~うつ女子ほど、仕事も恋もうまくいく!~』も話題を呼び、多くの女性たちから共感の声が寄せられた。著書に『這い上がるヒント~諦めなかったお笑い芸人30組の生き様』(東邦出版)、『うまくいかない自分から抜け出す方法』(かんき出版)ほか。『相方~ビートたけしとの幸福/ビートきよし 著』(東邦出版)の構成も手掛けた。
*公式サイト:http://naked-heart.jp/ *Twitter&Facebook:OkawauchiMari
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