「心が疲れた」と感じることは、誰にでもあることです。ただ、その度合いや“症状”は人によって違います。解決のためには、時には「相談」することも有効です。
 この連載では、産業カウンセラーが実際に受けた相談から実際の事例を紹介し、働く女性のメンタルヘルスを考えます。

 産業カウンセラーの資格取得後、さらに勉強・研鑽を積み試験に合格すると、シニア産業カウンセラーの資格が取得できる。今回は、企業と契約している外部カウンセリングルームにお勤めのシニア産業カウンセラーKさんが受けた相談事例を紹介する。

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 大手通信系の会社に派遣され勤務しているMさんは、32歳で独身。実家から通勤している一人っ子の女性だ。きちんとスーツを着こなし、見るからにキャリア系の凛とした女性だった。

 Mさんは、社内では話しにくい職場の話を、企業外のカウンセラーに話したいと来訪した。

 大学卒業後、人材紹介会社に入社したMさんは、営業のセクションで10年勤務した。そして、キャリアを認められて、上司から親会社への勤務を打診された。

 「ぜひこれまでのキャリアを生かして、働いてほしい」と上司から言われた。

 現在の職場に不満はなく、働きがいもあった。親会社へ行きたかったわけではなかったが、信頼している上司の頼みでもあった。

 Mさんの上司はキャリアを積み上げて活躍している女性上司だった。そんな憧れの上司にこれまでのキャリアを評価されたことも嬉しかったので、Mさんは親会社へ行くことを決めた。尊敬している上司の期待を裏切りたくないという気持ちもあった。しかし中途ということもあり、親会社の正社員ではなく、やむなく現職の人材紹介会社に登録して“派遣社員”で行く形を取った。

 Mさんは、意気揚々と派遣先で働き始めたが、2カ月たっても、責任ある職務を任せられず、補助業務のままだった。

 「キャリアを買われたはずなのに…」。Mさんは不満に思っていた。

 営業の窓口業務で、お客様と接する際にはそれぞれに担当SE(システムエンジニア)がつくことになっており、Mさんの担当SEは20代後半の男性だった。最初は親切だった担当SEが、1カ月を過ぎたあたりからMさんと距離を取るようになっていったという。

 部署全体の雰囲気もおかしいと感じるようになったが、派遣先に本音で話せる人はいなかった。

 「能力の高いMさんが、そのキャリアを買われて派遣された先の出来事です。不満な気持ちを受け止めながら状況を話してもらい、どうしたらいいか迷っていましたので、派遣元の上司と話をして疑問点などを確認するように提案しました」

 次の面談の約束をして1回目のカウンセリングは終了した。

 3週間後、2回目の面談を実施した。

 Mさんは派遣元の上司に連絡を取ったそうだ。