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「日本には犬猫のアウシュビッツがある」

2013年10月7日

「もと捨て犬」のセラピードッグたちが動物愛護法改正を後押し

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 病気や障がいを持った人、介護が必要な高齢者などの治療やリハビリを手助けしてくれる「セラピードッグ」。前回は、日本でセラピードッグ第一号となった「名犬チロリ」のお話をご紹介しました。

 ごみ捨て場に捨てられていた雑種犬のチロリを「名犬」と呼ばれるほどのセラピードッグに育てた国際セラピードッグ協会代表の大木トオルさんは、その後、ある大きな決断をします。動物愛護センターから殺処分寸前の犬たちを引き取り、セラピードッグとして育成することにしたのです。

 セラピードッグの活動は医療の一環として行われるため、病院や介護施設などで万が一にも事故を起こすことなく活動できるよう、高度な教育が必要とされます。セラピードッグが広く普及しているアメリカでは、適性があるとされる純血種で、セラピードッグとしての資質を受け継ぐ血統の犬を育成するのが一般的です。一方、動物愛護センターから引き取る犬たちは、その多くが雑種。大木さんの決断は、とてつもないチャレンジだったといえます。

チロリに次ぐ2代目リーダーとして活躍するピースも、餓死寸前で保護された犬だった。写真/工藤朋子

 なぜ大木さんはこのような困難に立ち向かったのでしょうか?

 話は、大木さんがアメリカでブルースシンガーとして活躍していた時代にさかのぼります。ライフワークとしてセラピードッグの育成に関わっていた大木さんは、あるとき、衝撃的な言葉をぶつけられたのです。

大木さんは「世界のミスター・イエロー・ブルース」と称賛され、数多くの全米ツアーを成功させてきた。

 「あなたの国には、犬猫のアウシュビッツがある」――。

 その当時、日本では年間65万頭の犬猫が殺処分されていました。「アメリカでは、人前に立つ人間は社会貢献活動をして当然と考えられています。『音楽家として人前に出るなら、なぜ犬猫の殺処分問題に立ち向かわないのか』と言われた私は、78年に米軍の慰問のために日本に一時帰国した時から、保健所に足を運んで殺処分の現実と向き合うようになりました」(大木さん)。

動物の殺処分を行う施設で、既にこの世にいない犬たちが遺した首輪を手にする大木さん。
殺処分後に焼却処分された犬たちの骨が詰め込まれた袋。

 殺処分される犬たちは、ガス室で二酸化炭素を送り込まれて命を落としていきます。残酷な現実に、大木さんは子どもの頃に自分に寄り添っていてくれた愛犬のことを強く思い出したと言います。

幼い頃の大木さん。友達がいない孤独を救ってくれた一番仲良しの飼い犬と。

 「私は4歳のときに重度の吃音障がいが発覚して、うまく言葉が出ないために小学校ではずいぶんいじめられました。そんな時、私の唯一の友達になってくれたのが愛犬たちだったんです。犬は、私が言葉を出せるまでじっと待ってくれて、名前を呼ぶとちぎれんばかりにしっぽを振ってくれました」。しかし、大木さんが12歳の時に一家は離散。大人たちに「犬はいい人にもらってもらうから安心しろ」と言われたものの、その後、愛犬たちの消息を知るすべはありませんでした。「保健所に行くようになって、『自分を救ってくれた愛犬たちもここに来て捨て犬として殺されてしまったのではないか』と考えるようになりました。そんなルーツがあって、捨て犬たちを救いたいという思いをずっと持っていたんです」

 雑種の捨て犬だったチロリがセラピードッグとして目を見張るほどの活躍ぶりを見せたことで、大木さんは「捨て犬がセラピードッグになって人間を救う力があるということを示せば、世の中を動かせるかもしれない」と考えるようになりました。

 「チロリが乳癌で亡くなった時、国は私に31もの表彰状や感謝状を出しました。その時、私はそこに書かれていた自分の名前を『大木チロリ』にかえてほしいと伝えたんです。最初は『犬の名前で表彰状や感謝状を出したことはない』と言われましたが、最終的にはすべて『大木チロリ』に書き替えてもらうことができました。捨て犬だったチロリが、国から認められたわけです。でも、チロリ1頭だけでは“奇跡のドラマ”で話が終わってしまいます。だから私は、チロリのあとに続くセラピードッグはすべて捨て犬を引き取って育てることにしたんです。これは、賭けでした」

チロリお別れの会。「元捨て犬」の功績に対して、国から表彰状、感謝状が寄せられた。
殺処分の運命にある犬たちの部屋に入り、レスキューを行う大木さん。「そこにいるすべての犬を救うことはできない。辛く悲しい作業です」(大木さん)。

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