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9月9日、重陽の節句に思いを寄せる花

2013年9月9日

禅のことば(最終回)

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 私が子どもの時の話です。母の日に花を贈ろうと思い立ち、お小遣いを握りしめて花屋の店先に行きました。何しろ物を知らない子どもだったので、「母の日=カーネーション」ということを知りませんでした。また、花が意外と(子どもにとっては)よい値段がすることも、その時初めて知ったぐらいでした。

 その時、手元にあった500円玉と相談した結果、「わあキレイな花だなあ」と思った一輪の花を買い、母に贈りました。受け取った母は最初驚いていましたが、笑いながら受け取ってくれたことを覚えています。

 私が母に贈ったのは、一輪の白い菊の花でした。

 今では、「母の日に白い菊を贈るなんて、ちょっとあんまりだったなあ」と反省しています。しかし子ども心には、その白い菊は本当に清らかで美しく、母に贈るに相応しいと思ったのです。

 菊の花というと、現代では「お葬式」や「お墓」というイメージが強いようです。ところが菊は、もともと「長寿」と関わりのある花でした。

 古来9月9日には、菊の花びらを浮かべたお酒を飲んだり、菊の花を載せておいた綿布で体を拭ったりして、長生きできるようにと祈ってきました。他にも皇室をはじめ菊を紋章としているところも多く、尊さも表していたようです。

 大本山永平寺を開かれた道元禅師も、菊について詩に詠んでいます。

  去年九月此中去 九月今年自此来 休憶去来年月日 懽看叢裏菊華開

  (去年の9月には「この中」に去り、今年の9月には「ここ」から来た。去来する年月日について考えるのは止め、草むらに菊の花が咲いているのを喜びたい)

 道元禅師にとって菊の花は、「長寿」とともに「永遠」を表す花だったのかもしれません。

 このように、本来はめでたい意味を持つ菊。今では人へ贈るにも相当に気を遣うべき花ですが、自分で愛でる分には問題ないでしょう。この重陽の節句には、菊の花の香りに触れて、時の永さを感じてみてはいかがでしょうか。

(上月泰龍)

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Profile
曹洞宗の研究機関で活躍する若手・中堅僧侶4人。
宇野全智(うの・ぜんち)/ 曹洞宗総合研究センター専任研究員。山形県大石田町地福寺副住職
上月泰龍(こうづき・たいりゅう)/ 曹洞宗総合研究センター教化研修部門研究生。三重県鈴鹿市泰応寺副住職
菅原研州(すがわら・けんしゅう)/ 曹洞宗総合研究センター専任研究員。宮城県栗原市城国寺副住職
関水博道(せきみず・はくどう)/ 曹洞宗総合研究センター専任研究員。神奈川県横浜市東泉寺副住職

*4人の詳しいプロフィールは⇒こちら
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