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本当に学ぶべきこと~端午の節句にちなんで

2013年5月5日

【禅のことば】端午の節句に作る薬玉

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 今日5月5日は端午の節句です。一般的には「こどもの日」の祝日とされ、武者人形などの五月人形をお飾りし、こいのぼりを流す方もおられることでしょう。両方とも、こどもが息災に生きるように願って行われるものです。

 この節句は元々、男の子のための節句ではなかったとされます。ところが、鎌倉時代になると「菖蒲」の字を「尚武」に懸けて、武士の間で男の子の節句とし、男の子が無事に成長することを祈ったとされます。そこで、鎧兜を着けた武者人形などの五月人形を室内に飾りました。また、こいのぼりは、こいの滝登り、つまり「登龍門」の故事に因み立身出世を願うために立てられました。

 それから、現代にはあまり残っていないようですが、端午には廳香(じゃこう)・沈香(ぢんこう)・丁子(ちょうじ)などを錦の袋に入れ、蓬・菖蒲などを結び、五色の糸を垂らした「薬縷(薬玉)」を作り、柱にかけたり身に着けたりして災いを避けるように祈りました。今とは全く違う形です(右図参照)。また、この「五色の糸」はこいのぼりの吹き流しにも通じるのです。

 ところで、禅宗ではこの日、文殊菩薩と善財童子による問答が広く学ばれました。次のようなお話です。

―― 善財が文殊に学んでいた時に、文殊が、「門を出て一本の薬草を採っておいで」といいました。

 善財は門を出たところ、周囲の土地に生えていたすべてが薬草でした。帰ってきて文殊に向かって、「大地に生えていたのはすべて薬草でした。どれを持ってくればよろしいですか」と尋ねました。

 文殊は、「一本の薬草を採っておいで」といいました。

 善財は、一本の薬草を採ってきて文殊に渡しました。文殊はそれを持って修行僧達に示すと、「この一本の薬草が、また、よく人を殺し、また、よく人を活かすのだ」といいました。――

 先ほど、薬玉を作る話をしましたが、それに因んで禅宗では、「薬草」の「薬」という点に着目したといえましょう。ここで、「薬」とされているのは、苦を逃れさせてくれる「ブッダの教え」のことです。文殊は善財に対し、とにかくブッダの教えを学ぶように示そうとして、薬草を採ってくるように促したのです。ところが、善財は、どれもが大切な教えに見えてしまい、どれか一つを選ぶのを躊躇してしまいました。しかし、文殊は改めて善財に、とにかくどれか一つの教えを学ぶように促したのです。

 これは、どんなに素晴らしい教えでも、それを自ら進んで学ばなければ、ただ見ているだけになってしまうことを意味しています。そして、一つの教えを選んだ善財に対し、文殊は改めて、この教えの学び方ひとつで、自らの身を生かしも殺しもすると述べたのです。

 現代でも同じことがいえるでしょう。自らのキャリアアップなどを目指して、あれも学びたい、これも学びたいと思うのはわかります。ただ、どのような分野でも、本気で学ぼうとするならば、一定の時間や負担を要します。あれもこれも一度に学ぶのはなかなか難しいと思います。しかし、それで躊躇して学ばなければ、いつまで経ってもキャリアアップはできません。自分に合っていると思うなら、迷わずその道に入り、専一に学ぶべきなのです。

 また、学びの途中に油断していると、本来自分が思っていたことを得られないこともあります。せっかくの貴重な学びを生かすも殺すも、自分の意識ひとつだといえるのです。

(菅原研州)

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Profile
曹洞宗の研究機関で活躍する若手・中堅僧侶4人。
宇野全智(うの・ぜんち)/ 曹洞宗総合研究センター専任研究員。山形県大石田町地福寺副住職
上月泰龍(こうづき・たいりゅう)/ 曹洞宗総合研究センター教化研修部門研究生。三重県鈴鹿市泰応寺副住職
菅原研州(すがわら・けんしゅう)/ 曹洞宗総合研究センター専任研究員。宮城県栗原市城国寺副住職
関水博道(せきみず・はくどう)/ 曹洞宗総合研究センター専任研究員。神奈川県横浜市東泉寺副住職

*4人の詳しいプロフィールは⇒こちら
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