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日本破綻論者は極論を言っている

2013年3月5日

危機を政策的に回避することは充分可能

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 ここまで見た「トレンドとしての円高」は、そう遠くない時期に終焉(しゅうえん)し、為替が大きく円安に向かう──そう主張する人も、実は少なくありません

 その筆頭格が藤巻健史氏でしょう。藤巻氏は三井信託銀行からモルガン銀行に転じ、1995年にはモルガン銀行の東京支店長を務めています。「伝説のトレーダー」といわれ、現役時代には『プロパガンダ』というレポートを発行し、為替市場に強い影響力を持っていました。その高額の給与や退職金は、彼がトレーダーとして大いに成功したことを示しているようです。

 しかし、最近の彼の為替予測は、まったく当たっていません。ここ数年、彼は円が暴落すると言い続けていますが、冒頭で述べたように円高トレンドは今も続いています。彼は2012年6月にも、日本は「最短で5年で」破綻し、1ドル500円から600円になると予測しています。

 藤巻氏の日本経済に関する悲観的予測や円暴落説の主要な根拠は、日本が抱える巨大な累積債務です。たしかに、一般政府(中央政府・地方政府・社会保障基金の合計)としての日本の債務残高は、12年に対GDP比219.1%と先進国で最大で、イタリア128.1%、アメリカ103.6%を大きく上回っています。

 しかし、これはバランスシートの片側だけを見た数字にすぎません。

 12年6月末の日本の家計の金融資産は1515兆円(対GDP比292.6%)で、家計の負債は356兆円(同じく68.7%)。以上を差し引きした家計のネット(正味)の資産は1159兆円で、対GDP比223.7%です。つまり、家計のネットの金融資産額は政府の債務残高を、まだ若干ですが上回っています。

 こうしたこともあって、日本国債の92%前後は日本人が保有しています。家計の貯蓄はふつう銀行預金、郵便貯金、保険の掛け金の形で行われ、銀行、郵便局、保険会社などが国債を大量に購入するので、92%という数字になるのです。家計が間接的に国債を保有している、という構図です。

 「日本政府は借金も多いが、政府資産があるではないか。政府資産のプラスは考えに入れないのか」と思う読者もいるかもしれません。念のために書いておくと、たしかに政府は09年度末時点で647兆円の資産を持っています。しかし、これは年金積立金(正確にはその運用寄託金)121兆円、国道63兆円や堤防などのインフラ67兆円、外貨証券82兆円や財政融資資金貸付金139兆円、独立行政法人や国立大学法人などの出資金58兆円などです(以上で8割超)。これらは売却できず、おカネに換えて国債の借金返済にあてることができません。ですから、国の債務というマイナスをどうするか議論するときに、プラスのものとして考えに入れてはいけません。

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榊原英資
榊原英資
1941年、東京都生まれ。東京大学経済学部卒業。大蔵省入省後、ミシガン大学で経済学博士号取得。97年~99年財務官を務め、「ミスター円」の異名をとる。慶応、早稲田大学教授を経て、青山学院大学教授、財団法人インド経済研究所理事長。04年より高校生向けの人材育成合宿研修会「日本の次世代リーダー養成塾」を定期的に開く
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