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死ぬ間際に後悔しないために……

2013年2月20日

『死ぬ瞬間の5つの後悔』

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『死ぬ瞬間の5つの後悔』
ブロニー・ウエア

 新潮社/1680円
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死にゆく人々に共通する後悔を5つに絞って示した本書のエッセンスが英国の全国紙「THE GUARDIAN」で紹介され、日本のでも話題を呼んだのが約1年前。余命わずかな人々への在宅終末ケアで100人以上を看取ってきたオーストラリア人女性が、死と向き合う人々と接することになった経緯や幾多もの人々を看取るという経験、クライアントの家族の対応や自身への影響、現在の自分について、率直な物言いで語っている。


 思わず「その5つって何?」と確かめたくなった『死ぬ瞬間の5つの後悔』は、もっと似たような本が出ていてもおかしくない内容です。ホスピスに勤める人も増えているなかで、どうしてこういう本が出ていないのか、不思議ですね。ホスピスのような組織で、終末ケアの専門家だけが持つ知識もあるはずです。それなのに、それを広めたくないのか、忙しくて書く時間が取れないのか、書くことに興味がない人ばかりなのか……。日本では「人の死をお金儲けに使うのか」と非難されそうなところもあるので、本としてまとめにくいところもあるのでしょうか。ホスピスなどで、ある程度機械的に人を見送らなくてはいけなくなると、あまり深く一人一人に入れ込んで気持ちを書き残すというようなことにはならないのかもしれないですね。

 『死ぬ瞬間の5つの後悔』の著者も、本当はみんなに伝えようと思って書いたのではなく、自分の人生のおまけとしてブログに書いていただけです。自分が生きている中で悩み苦しんでいることを、目の前の死にゆく人と重ねて、思ったことや感じたことを綴っていたのです。

 読み始める前はもっとプロフェッショナルに5つの事例を提示する本かなと思っていたのですが、実際には自伝的なところが大きかったです。自分以外の人が死ぬ瞬間にどう思ったかという話と、自分自身がどういう人生を送ってどう成長してきたかという話の両方が詳しく書かれています。だから、とってもボリューミー。

 どっちがおもしろいのかは、人によって違うでしょう。見失った自分を取り戻していく彼女の軌跡に興味を持つ人もいるだろうし、単なるレポートとして死にゆく人の話だけにしたほうがいいと思う人もいるかもしれません。2冊に分けたほうが読みやすかったかなとも思えますが、彼女自身の話と死にゆく人の話との両方を行ったり来たりするのは、わざとそういう風に書いているんですよね。

 筆力があって、特に情景の描写などは小説のようにうまいので、長いと思いつつも読み続けてしまいます。実際に余命わずかな人々がどういう風に感じているのか、何を見ているのかもよくわかります。著者自身の話も「もうちょっと短縮して書いてもいいんじゃない?」と思いつつ、1行も飛ばさずに読みたくなってしまうほど筆力を感じます。その読みやすさというか、読むのをやめられないところは、さすがベストセラー。すごいなと思います。

 結局「5つの後悔」が何かというのは目次でわかっちゃいますし、驚くようなことではありません。オーストラリア人の話ですが、日本でもこの5つはそれほど変わらないと思います。もちろん、全部当てはまる人もいれば、ひとつも当てはまらない人もいるでしょう。でも誰でもいつかは死ぬのだから、この5つの後悔はしないように今から一生懸命にやっておきなさいということに、納得はできるはずです。

 私だったら、4番目の「友人と連絡を取り続ければよかった」が一番ありそうかなと思いました。仕事が忙しすぎて友達がおろそかになっているところはありますし、5つのうちの1つに入るくらい大切な項目だということに驚きました。一番気になるところが人によって違うのは当然なのですが、この本を読むことを通じて自分自身の生き方を振り返って「働きすぎていないか」とか「自分に正直か」とか、考えたくなります。人間は「自分にも明日死ぬ可能性がある」ということを、ふだんは忘れています。でもそれを意識することは、後悔のない生き方に近づく手段になるのかなという気がしました。

構成/土田 みき

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Profile
小林麻実(こばやし・まみ)
アカデミーヒルズ六本木ライブラリー・アドバイザー
早稲田大学法学部卒業、同大学院国際経営学修士(MBA)課程修了。東京大学大学院学際情報学府修士課程修了。同博士課程中退。マッキンゼー・アンド・カンパニーを経て、米国ユナイテッド・テクノロジーズ社において、世界15万人の社員による情報・知識の交換および創出を目指し、ヴァーチャルライブラリーを推進。「ライブラリーとは、個人が持つ情報を他者と効果的に交換し、イノベーションを生む場である」というコンセプトを構築し、2002年に六本木ライブラリーディレクター就任。著書『図書館はコミュニティ創出の「場」ー会員制ライブラリーの挑戦』(勉誠出版、2009)他。
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