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「悩み」をコンサル視点で解決する

2012年12月27日

『オタクの息子に悩んでます』岡田斗司夫、FREEex

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『オタクの息子に悩んでます』
岡田斗司夫、FREEex

 幻冬舎/987円
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朝日新聞の土曜日別刷り「Be」の人生相談「悩みのるつぼ」で、4週に1度回答者を務める岡田斗司夫。よせられた悩みに対してどう発想・展開・表現して回答ができあがったのかという思考経路を、ツールとして体系化しながら明らかにしたのが本書だ。全12ステージで問題に対する考え方を開示するだけでなく、岡田斗司夫が人生相談の連載とどう向き合い、回答者としてどう変化していったのかも見えてくる。巻末には悩みと回答38組を収めた付録も。


 岡田斗司夫さんが新聞で人生相談の回答者をしていることを全然知らなかったので、『オタクの息子に悩んでます』は「こんなこともやっているんだな」と驚きながら手に取りました。最初はただの悩み相談だと思ったのですが、ロジカルシンキング的に問題を考えるという話から、お客様である相談者に対してサービス業としてどう対応しようかという自分の立ち位置を探るような話まで、いろいろな側面がある書籍でした。

 とにかく細かいんですよ。相談者に対してただ偉そうに自分が言いたいことを言っているだけの回答ではありません。お金をもらって回答するのだからと、コンサルティング的にきちんと考えていて。相談内容を1行1行分析して、答えるべき問題点を明らかにして、相談者が何を望んでいるかを考え、しかも「回答には愛がなくちゃいけない」と表現を最後まで突き詰めています。そもそも人生相談の回答というのはどうあるべきかも深く考えていますし、一つ一つの相談についても読んでいるほうが嫌になってきてしまうほど詳しく書いています。その粘着質なところが人によって好き嫌いがあるかもしれませんが、ものすごく大変なことをしていることはわかります。

 結果として、相談者のことを考えながら読者に「おお!」と思わせるような仕組みのある回答になっています。相手を認めるような愛がある回答だから、部数のある大新聞で書いていても読者のみなさんに受け入れられるし、納得感があります。回答だけでも十分に本としての商品価値があると思うんですけど、思考の過程やツールを見せることでもう一つ別のクリエイティビティが生まれるという考え方もすごいですよね。連載として新聞で読んだ人でも、また本としてすごくおもしろいものになっているのだろうなと思います。

 思考ツールを明確にすることで本を特徴づける発想はすごいですが、11種のツール自体は「まあ、そうだな」と思う程度でした。誰かの受け売りではないことは強く感じられます。本を読んだ知識ではなく、問題を解決するために自分でゼロから考えるという大変なことをやっていて、まさしく自分の頭で深く考えるなかでいろいろやっていくと、結果としてツールを使うことになるということです。岡田さんにとって一番の目的は、「よく考える」ということなんですよね。それがビジネス書に出てくるツールと似たようなことになっているのが、またおもしろいところでもあります。

 読んでいると、岡田さんの頭のよさとエネルギッシュさが伝わってきます。なかなか人が思いつかないことを実践するおもしろい人だとは思っていましたが、人生相談に思考ツールをうまく使うという視点も変わっていますよね。みんなの生活の悩みに対して、彼のようなコンサルタント的な発想で答える例はあまりないと思います。庶民生活についてオタク的な目線で細かくいろいろ知っていながら、コンサルタント的な考え方ができるというところがとっても変わっています。そういうユニークさが、新聞連載の読者からも支持されているのでしょう。また、回答者として岡田さんが進化していくところもおもしろいので、読むのに時間がかかりますし、ちゃんと順番に読んでいかないといけないんです。ちょっとぱらぱらっとページをめくるだけというわけにはいかない、見た目より手ごわい本でした。ビジネス書コーナーに置いてあってもいい内容だと思います。

構成/土田 みき

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Profile
小林麻実(こばやし・まみ)
アカデミーヒルズ六本木ライブラリー・アドバイザー
早稲田大学法学部卒業、同大学院国際経営学修士(MBA)課程修了。東京大学大学院学際情報学府修士課程修了。同博士課程中退。マッキンゼー・アンド・カンパニーを経て、米国ユナイテッド・テクノロジーズ社において、世界15万人の社員による情報・知識の交換および創出を目指し、ヴァーチャルライブラリーを推進。「ライブラリーとは、個人が持つ情報を他者と効果的に交換し、イノベーションを生む場である」というコンセプトを構築し、2002年に六本木ライブラリーディレクター就任。著書『図書館はコミュニティ創出の「場」ー会員制ライブラリーの挑戦』(勉誠出版、2009)他。
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