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【お仕事対談】自分をだまして動かす方法

2013年1月15日

「大人だから耐えてやってるんだよ、調子のんなよ!」(16)

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 「草食男子」の名付け親で、当サイトでも「ニッポン女児論」が人気のコラムニストの深澤真紀さん(バブル世代)と、『ポトスライムの舟』で芥川賞受賞後も最近まで会社員のまま、働く男女の日常を描き続けている津村記久子さん(ロスジェネ世代)。そんなふたりが、自身の生々しい経験を織り交ぜながら、「ダメでも働く」ための技術を語り尽くす対談。第4クールです。

◆前回まで⇒こちら

テレビとおやつを自分の部屋でやってくれへん?(津村)

津村:今、実家にいるんですけど、一昨年末に母親とすごいけんかをして。母親は、なんでも思ったことを口にするほうで、こちらが話していても、半分ぐらいは最後まで聞かずに、自分の所感とか心に浮かんだ別のことを話し始める人なんですよ。

受賞後に家に帰ったときの母親の言葉は「あんた足小さいな」って。(津村)

 織田作之助賞をいただいた時に(第28回・2011年『ワーカーズ・ダイジェスト』)やっぱりすごいしんどかった。賞にノミネートされるって、ありがたいけどしんどいじゃないですか。そのときに「しんどいしんどい」ってずっと言ってた。ずっと考えないようにはしてたんだけど、受賞作が決まる日だけはやっぱり考えなあかんから、ずっと脚をかきむしってて。

 で、「とりました」ってなって。大阪で選考会があったんで、会社帰りに打ち上げの会場行って選考委員の先生方にあいさつして、ひーとにかく終わったーって帰ってきたんです。「もうずっと脚ギーッてやってたわ」って言いながら冷蔵庫開けてたら、母親がちょっと私の足元見て、「あんた足小さいな」って。「歩いてないんちゃう、あんまり」って。

深澤:それは…。

津村:もうそのまま冷蔵庫のドアで頭殴られたような感じになりました。それからもそういうことが少し続いて。

 そういう折に、『「つながり」の精神病理』(中井久夫著)っていう本をもらって(笑)。読んだら、「これはおかんや!」って思う記述があったんですよ。「High Emotion-Expressed Family」っていうらしいんですけど、「なんでもかんでも思ったことを言ってしまう家族」っていう。私がそう診断されたとかじゃないんですが、そういう親を持った統合失調症の子どもは治りにくくなってしまうようです。

 あとサールズっていう人の「相手を狂気に追いやる努力」っていう論文を見て。会話の波長を合わせないとか、頻繁に話題を変更することは、相手を変にしてしまうみたいで。実際私は、ものすごく追い詰められて、鍋をひっくり返して部屋を荒らしたりしてしまいました。というか、そうでもしないと伝わらないと思ったんで、片付けやすいようにとか家具が傷つかないようにとか考えてやったりしてたんですが(笑)。

 それから、より一緒にいる時間を減らしたんです。どこの家も、おかんって大体台所におるんですよ。自分の部屋があるのに、テレビとおやつのあるところにおる。私は必ず台所を通って部屋に帰るから、「テレビとおやつは自分の部屋でやってくれへん?」っておかんに言ったんです。夜の11時くらいまで、あんまり座り心地もよくない台所の丸椅子で、私か弟が通るのを待ち構えてたんで。

深澤:アリ地獄みたい(笑)

津村:そう。でも待ってるのに、あまり話は聞かない。どちらかというと話をしてくる。弟にどう接してるかは知りませんけど。

深澤:それはしんどい。

津村:でしょ? なんだかんだでしんどい人でもあるんです。それで、その本の該当しているところを読んでもらい、テレビとおやつを自室にもってってもらうようになって、あまりしゃべらなくなって、今はうまくいっていると思います。

 悪いことした、という気持ちもありますけどね。ひどいことを言ったりするわけじゃないけど、また別のしんどさがあったし、でもそれは、違和感を持っていいものかどうかもわからなかったんで。問題に気付けたのは良かったと思います。

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Profile
深澤真紀(ふかさわ・まき)
コラムニスト・編集者。1967年東京生まれ。早稲田大学第二文学部社会専修卒業後、複数の会社で編集者を務め、1998年企画会社タクト・プランニングを設立、代表取締役社長に就任。命名した「草食男子」は2009年新語・流行語大賞トップテンに。

津村記久子(つむら・きくこ)
小説家。1978年大阪生まれ。大谷大学文学部国際文化学科卒業。会社勤め→失業→会社勤めを経て、2005年「マンイーター」(「君は永遠にそいつらより若い」に改題)で第21回太宰治賞受賞。2009年「ポトスライムの舟」で第140回芥川賞。
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