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「良い子」のマネをした「悪い子」のはなし

2012年11月12日

禅の言葉「修証不二」~山形のお寺での出来事

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 私が副住職を務める山形のお寺では、さまざまな問題を抱えた子供たちがお寺に住み込み、立ち直るための「修行生活」を送っています。今回は、ある女の子の話です。

 彼女は眉をそり、髪を茶色に染めた典型的なヤンキー系。「問題を起こしたって、いったい何したの?」と私が聞くと「多すぎて言えない」と答えるほどの自他共に認める「悪い子」です。でもお寺での生活を始めた彼女は、まるで人が変わったよう。掃除や洗濯、お檀家さんへのお茶出しなどを一所懸命に手伝う彼女には、「悪い子」の面影はありません。

 そんなある日、彼女は私にこうつぶやきました。

 「私のこと、全智さんは良い子って思ってるかもしれないけど、私は、本当は今でも悪い子。私はここで良い子のマネをしているだけなの」

 じゃあ、と、私は彼女に問いかけました。

 「例えば君がコンビニに行ったとするよ。それで“本当は良い子”なんだけど、悪い人のマネをして万引きをしたとする。そうしたら、それは“本当に良い子”なのかな?」

 「マネだって、万引きしたら泥棒でしょ。そんなの悪いに決まってるじゃん」

 「じゃあ、今度は君が電車に乗っていたとする。それで“本当は悪い子”なんだけど、良い子のマネをして、席を譲ったとする。それって“本当に悪い子”なのかな?」

 「席を譲ったんなら、そりゃあ良い子だよね」

 「じゃあ、“本当は良い子”とか、“本当は悪い子”とか、それってあんまり関係ないんじゃない? ここにいる間、君はずっと良い子のマネをしてればいい。そんな君のことを、僕は本当に良い子だと思ってるよ」

 私がそういうと、彼女は「そうか。マネでもいいんだね」と、ホッとしたような表情を見せました。

 「修証不二」とは、「修行の中にこそさとりがある」という意味。日常生活に置き換えれば、「この一瞬の行いが、その人そのものである」とも言えるでしょう。

 過去や未来に「本当の姿」を見出すのではなく、今の瞬間を確かに生きること。そこに「本当の自分」がそのまま現れると考えれば、とってもシンプルで、生きやすくなる気がしますよね。

(宇野全智)

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Profile
曹洞宗の研究機関で活躍する若手・中堅僧侶4人。
宇野全智(うの・ぜんち)/ 曹洞宗総合研究センター専任研究員。山形県大石田町地福寺副住職
上月泰龍(こうづき・たいりゅう)/ 曹洞宗総合研究センター教化研修部門研究生。三重県鈴鹿市泰応寺副住職
菅原研州(すがわら・けんしゅう)/ 曹洞宗総合研究センター専任研究員。宮城県栗原市城国寺副住職
関水博道(せきみず・はくどう)/ 曹洞宗総合研究センター専任研究員。神奈川県横浜市東泉寺副住職

*4人の詳しいプロフィールは⇒こちら
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