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荒野の英雄、その罪と運命……。

2012年11月5日

アラスカで出会ったオリバー爺さん

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 戦地はイタリア上空。気流に翻弄されながらも、敵機の間を縫うように飛ぶ戦闘機の中で、若き日のオリバー爺さんは、目の前に現れる敵機を何機も落とした。

 その運動神経の良さから、機銃の名手と呼ばれていたという。

 強運の持ち主でもあり、2度の墜落を経験するも、いずれも命を落とすことなく、敵国の森を潜り抜けて、自ら部隊に合流したのだった。

 そんな凄まじい過去を語るオリバー爺さんが、下向きの小さな声で言った。

「当時はな……、敵機を撃ち落とすのに何の躊躇もなかった……」

彼の話を聞きながら、私は、ふと当時の日本兵のことを思った。 彼らもまた、国のためと思い信じて戦地に赴いていたのだろう。

 オリバー爺さんは、再び小さく呟いた。

「ワシが撃ち落した兵士にも家族があっただろう……。あの戦争でワシは……、ある母の息子を殺し、ある子の父親を殺したのだ……。それも、多くの命を……」

 戦争が終わり、自国に帰還した彼は、まるで英雄の凱旋のように迎えられたという。 しかし、戦争を正義だと美化し、まるで世界が我が物のように喜んでいる人々の前で、彼はハタと立ち止まったのだった。

「多くの命を奪った戦争に、正義などない」

 オリバーのか細い声が強くなった。

「徴兵され、それが国民の使命だったとしても、ワシは多くの命を奪った殺人者なのだよ」

「殺人者なのだ……」

 オリバー爺さんは、息苦しそうに浅い息を吐きながらも、語気をさらに強めた。

 その後のオリバーは悩みつづけた。結婚をして、子供をもうけながらも、自分を責めることから解放されず、彼の足は自然とアラスカに向っていた。そして、荒野の奥へ奥へと分け入って行ったのだった。

続きはWEB版「ナショナル ジオグラフィック」(3ページ目から)でご覧ください。

この記事はWEB版「ナショナル ジオグラフィック」の連載「アイスブルーの瞳」の第11話 荒野の英雄、その罪と運命……。を一部転載したものです。

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廣川まさき
廣川まさき(ひろかわ まさき)
ノンフィクションライター。1972年富山県生まれ。岐阜女子大学卒。2003年、アラスカ・ユーコン川約1500キロを単独カヌーで下り、その旅を記録した著書『ウーマンアローン』で2004年第2回開高健ノンフィクション賞を受賞。近著は『私の名はナルヴァルック』(集英社)。公式サイト
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