• ビジネス
  • xTECH
  • クロストレンド
  • 医療
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版
  • 日経BP

トレーダーが書いた本当の金融業界

2012年11月9日

『外資系金融の終わり』

このエントリーをはてなブックマークに追加
Facebookでシェア

『外資系金融の終わり』
 藤沢数希

 ダイヤモンド社/1680円
 ■ アマゾンで購入する
 ■ 楽天ブックスで購入する

外資系金融会社でトレーダーを務める人気金融ブロガーが、「金融業界はどこへ向かうのか」を示唆した書。世界同時不況やユーロ危機など世界経済の現状と仕組みを丁寧に解説する一方で、一般的に言われている世界市場の展望に異論を唱え、著者の目から見た実態と将来像を具体的に示している。また金融トレーダーの初任給が高く巨額の報酬を受け取られる理由や金融業界の仕組みについても、ブロガーらしい砕けた表現で明らかにしている。


 金融業界の人にしたら目新しさはないかもしれないですが、一般の人は金融業界について知らないことも多いと思うので、読んでおいた方がいいと思うのが『外資系金融の終わり』です。この本の著者は、一般的には面倒くさい金融の話を、誰にでもわかりやすいように上手に説明しています。

 ポイントは、「人のお金を使ってギャンブルをやって、儲かったら自分がもらって、ハズれたときには公的資金で救済されるもの」が金融なんだということです。今の世の中における金融は、大きな影響力を持って世の中を動かしている機関です。誰もが金融の中で生きていると言えば生きていると言えます。だからこそ、私たちは金融が何をしているところなのかということを、現実として知っておくべきじゃないのかなと思います。偉そうに見えるけど、金融は大したことをしているわけではないんですよ。

 サブタイトルに「年収5000万円トレーダーの悩ましき日々」とあるように稼ぎやすい業界ではありますけど、金融業界の人がみんな頭いいわけではないですし、世の中を良くしようとしているわけでもありません。リーマン・ブラザーズが破たんした後に野村ホールディングスが元リーマンの外国人部隊をみんな賢いと思って高給で雇った話も書いてありましたけれども、これも実態を知っていたらありえない話です。日本中の人が、外国人ならとにかくお金を稼いでくるだろうと思うって、何を考えているのかしら?と思いますよね。それぐらい、世の中は外資系金融の実態を知らない人が多すぎます。だから、金融業界のしくみや現状をみなさんに知らせるという意味では、価値のある本かなと思います。

 もちろん、この著者の見方が金融業界のすべてではなく、一部の話に過ぎないといえばその通りです。ただこの著者が指摘する通り、金融業界の動向が世界に与える影響は大きすぎます。「さほど頭がよくないトレーダーがちょこっと間違ってしまったことが、不景気を引き起こす」みたいなことが、世界のあちこちで起きています。金融業界の中にいると、そういったエフェクトをすごく実感するんですよね。トレーダーというのは女工哀史と同じで、テクニカルなことを工場みたいにひたすら繰り返していくことが大事なんです。いま外資系の金融会社で仕事が楽しいなんて思っている人はいないと思いますよ。だから、その実情を伝えたくてたまらなくなるんでしょうね。

 でも本当に中にいる人はみんな忙しくて、書いている余裕なんてありません。著者は、私が何年も前から読んでいたブログ「金融日記」の管理人です。2カ月に一度ぐらいなんとなく思い出して見ていて、書き方がわかりやすいですし、業界内輪話として笑えてリラックスできる感じがしていました。今回「本を出す」と告知されていたので本屋さんで手に取ったところ、予想に違わない内容だったので多くの人に読んでもらいたいと思いました。

構成/土田 みき=ライター

この記事をSNSにシェアする

このエントリーをはてなブックマークに追加
Facebookでシェア

この記事は役に立ちましたか?
働く女性のための「日経ウーマンオンライン」最新記事のお知らせを好きな方法で受け取れます。

  • メールアイコン

    11万2千人

    無料メルマガを購読する

Facebookコメント

※Facebookのコメント機能は、Facebookのソーシャルプラグイン機能を用いて実現してい ます。本機能、およびコメントの内容について、日経ウーマンオンラインは一切の責任を負い ません(日経ウーマンオンラインからのコメントを除く)。また、コメントを非表示にしたり、機能を停止することがあります。

Profile
小林麻実(こばやし・まみ)
アカデミーヒルズ六本木ライブラリー・アドバイザー
早稲田大学法学部卒業、同大学院国際経営学修士(MBA)課程修了。東京大学大学院学際情報学府修士課程修了。同博士課程中退。マッキンゼー・アンド・カンパニーを経て、米国ユナイテッド・テクノロジーズ社において、世界15万人の社員による情報・知識の交換および創出を目指し、ヴァーチャルライブラリーを推進。「ライブラリーとは、個人が持つ情報を他者と効果的に交換し、イノベーションを生む場である」というコンセプトを構築し、2002年に六本木ライブラリーディレクター就任。著書『図書館はコミュニティ創出の「場」ー会員制ライブラリーの挑戦』(勉誠出版、2009)他。
関連キーワードから記事を探す
エンタメ

Topics

CloseUp

WOL Selection

PAGE TOP

ログインしていません。

  • ログイン
  • 無料会員登録

Pickup

Focus

最新刊のご案内

仕事を楽しむ 暮らしを楽しむ日経ウーマン 10月号

もっと健康に、もっと美しく日経ヘルス 10月号

働くママ&パパに役立つウェブマガジン日経DUAL 9月号

まんがで分かる!やせる食べ方

毎日がラクになる片づけルール

日経ウーマンオンライン おすすめの本

日経ウーマンオンライン

広告をスキップ