前回、邇邇芸命(ににぎのみこと)は、慣れ親しんだ天上界を離れ、地上界である葦原の中つ国(あしはらのなかつくに)に降り立ったというシーンまでをお話しました。この“天孫降臨”のとき、天と地上の間の分岐点で、天降る邇邇芸命を出迎えて道案内をしたのが、猿田毘古神(さるたびこのかみ)です。

 邇邇芸命ご一行が、天の八衢(あめのやちまた)という分岐点にさしかかったときに、神々しい光を放った一柱の神がたちはだかっていました。顔はほおずきの様に赤く、鼻は天狗のようなユニークな風貌です。そこで、上から見守っていた天照大御神は、天宇受売命(あめのうずめのみこと)を呼び、「おまえは肝が据わった勇気のある女神だ。あそこに立っている神の正体を確かめてきなさい」と命じます。

 天宇受売命が近づいてたずねてみると、「私は国津神(地上の世界の神)の猿田毘古神です。天津神の御子が天から降りられると聞いたので、ご先導をしようとお待ちしておりました」と答えました。天照大御神はひと安心し、猿田毘古神に先導役を任せることに。邇邇芸命は猿田毘古神の道案内のおかげで、無事に地上に降りることができたのです。

 その後、天宇受売命は猿田毘古神と結婚。急な結婚だったため、周りにあった荒木で急いで宮を建てた場所が、いまある荒立神社と言われています。天津神の天宇受売命と、国津神の猿田毘古神の結婚は、国内初の国際結婚と言えるかもしれません。天宇受売命は、やはり肝の据わった女神ですね。

荒立神社。猿田毘古神と天宇受売命の夫婦二柱が仲良く祀られています。
夫婦和合ということから、縁結びの御利益も期待!

 天孫降臨の先導役をした猿田毘古神は、言わば人生の水先案内人! 人生の岐路に立ったとき、何かヒントをくださるかもしれません。荒立神社のご祭神は、猿田毘古神と、その妻になった天宇受売神。運命の恋をつかむ一歩を後押ししてくれるはず!!